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源氏物語図色紙(藤裏葉)

資料番号2018-002
資料名源氏物語図色紙(藤裏葉)
著者・作者土佐派
員数1面
解説土佐派は、室町時代以来、宮廷の絵所預をつとめたが、永禄12年(1569)、棟梁・土佐光茂の嫡男である光元が戦死したことにより転機を迎えた。光茂は弟子の光吉に工房を任せ、光吉は京都から堺に活動の場を移した。寛永11年(1634)に光吉の息子・光則と孫・光起が京へ移るまで、土佐派のやまと絵は堺で命脈を保った。
堺時代の土佐派は、堺衆の肖像画のほか、源氏絵などを主として制作していたようである。光吉の工房には複数の絵師が所属し、光吉の絵画様式にしたがって制作を行っていたとみられるが、光吉の源氏絵の特徴として、隅々まで丁寧に描く細緻な表現や、金の砂子や切箔を使った金雲の装飾技法などが挙げられる。
本作は、光吉様式の源氏物語図色紙であり、第33帖「藤裏葉」を描く。光源氏の息子の夕霧が、内大臣の藤花の宴に招かれ、内大臣の娘の区雲居雁との結婚を許される場面である。
光吉の基準作である源氏物語図色紙には、裏面に「土佐久翌」印が押されているが、本作には同印より一回り小さい墨文重郭円印が押されている。東京国立博物館所蔵「源氏物語図色紙 花宴」にも同じ印が押されており、かつて本作とセットであった可能性が高い。

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