墨江神明

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茅海八勝画帖

資料番号2012-005
資料名茅海八勝画帖
著者・作者田能村直入
員数1帖
制作年代弘化4年
解説堺近辺の八つの風景画を収めた画帖。堺別院を訪れた西本願寺の門主、第20代広如(在位1823~71)のために制作された。勤行に忙しかった門主は堺の景色を見る暇がなく、これを残念に思った古家魯岳(こげ ろがく)は、田能村直入に堺の景色を描かせて門主に献上した。本作は献上作の稿本で、古家家に伝えられたもの。魯岳ら堺の人々の自慢の八景を、直入は実景に忠実に描くというよりも理想の山水画として表現している。たとえば妙國寺を実際とは異なる中国風の寺院として描く。
後の明治38年、魯岳の曾孫が直入のもとに本作を持参し、92歳になった直入が「茅海八勝」の題字と跋文を付した。直入は、当時をふり返り、天保10年から弘化3年まで堺に住み、魯岳と連れだって近在を探覧したこと、そのおかげで門主へ献上するための絵を依頼されたこと、本作はその稿であることなどを記す。
内箱蓋裏に、直入の養子の田能村小斎が八景の画題(「黒(墨の誤りか)江神明」「妙國鳳蕉」「戎嶋釣月」「玉野秋露」「僊陵瑞雪」「堺湊返照」「大濱魚市」「高石濤響」)を墨書している。

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