堺市鳥瞰図(原画)

資料番号0000-018
資料名堺市鳥瞰図(原画)
著者・作者吉田初三郎
員数1面
制作年代昭和10年
解説昭和一〇年に堺市役所産業課は観光客を呼ぶことを目的に、観光協会を組織することを計画する。その準備としてパノラマ地図・パンフレットの制作を、観光案内図の制作で高名な吉田初三郎に委嘱した。昭和一〇年三月一三日の大阪毎日新聞は、初三郎が一一日に堺へ入り、早速に堺警察署の櫓の上から市内を展望、翌日は菅原・開口神社、南宗寺、大安寺などへ参拝したこと、向こう一週間ほど大浜海岸の丸三楼に滞在することを報じている。
 初三郎は「堺ははじめてです。ちょっと見ると工場街となった汚れた町のように思われますが、静かに見入っていると整然とした街区のなかに古い香りが漂っているようでほんとうに気持ちのよい町です。」とコメントをしている。
 昭和九(一九三四)年に堺は室戸台風のため、甚大な被害をうけた。風水害から復興しつつある市街地が描かれているが、風水害で損傷した市庁舎はこの時点で計画されていた場所に計画のとおりの三階建てで描かれている。最終的には庁舎は本図の場所ではなく堺東に建設された。また台風の後の再建工事の途中に昭和一〇年三月の火事で全焼した大浜公園の水族館は、再建計画の案に沿って描かれている。竣工後の水族館は、本図とは異なっている。
 また原画では屋根の十字架が描かれている川尻教会は、印刷図では一般の建物と同じように描かれている。今後も本図の細かな観察によって、多くの情報を読み取ることが期待できる。(『堺市博物館優品図録 第三集』より)

『堺市博物館優品図録 第三集』に掲載

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