小野神社

公益財団法人多摩市文化振興財団撮影

小野神社

公開解説小野神社は多摩市一ノ宮にある神社です。同名の神社が近隣にあり、論争があるものの、「小野社」の名称は、宝亀3年(772)太政官符・『延喜式神名帳』・『日本三代実録』にも見えており、古くから国の庇護を受けていたと考えられています。小野神社は11世紀から12世紀初頭にかけて全国的に成立した「一宮」のひとつで、武蔵国府に近いことから、「武蔵一宮」となりました。一宮とは武蔵国府が最初に拝礼する神社で、武蔵総社・六所宮(大國魂神社)には一宮から六宮までが祀られており、南北朝時代の『神道集』には「一ノ宮ハ小野大明神ト申」として記されています。小野神社は六所宮と密接なつながりを持ち、「くらやみ祭り」の際には、神輿が渡御したほか、小野神社の神職が神事にかかわるなど、重要な役割を持ちました。ちなみに、小野神社の木造随身倚像(東京都有形指定文化財)の古像は元応元年(1319)の作であることが胴・首の内部の銘より判明ています。仏師は因幡法橋応円で、他に千葉県中山法華経寺の木造釈迦如来・多宝如来坐像や、京都府尊勝院(青蓮院)の木造毘沙門天像などの作例があります。

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