ショーの国のゴータロー

ショーの国のゴータロー

No百-名-398
資料名(よみ)しょーのくにのごーたろー
YouTubeURLnI4X1OFf23c
概要 この話は、沖縄では川恒さんだけが伝える、いわゆる「猿神退治」の話です。沖縄には猿はどの島にもいませんが、猿の登場する話は以外に多く伝えられています。しかしこの本土に伝えられている「猿神退治」の話は川恒さん以外からは全く聴き取られなかった話です。
大分類名護やんばる大百科
詳細 昔、唐にあった話。あるところに目の見えない子どもがいた。
その子が旅に出たいと母親に相談すると、「目が見えないのに旅に行くか」といったが、「家にだけいても面白くない。
旅をすれば、心も和むだろう」というので、母親も「そうか」と金と弁当を持たせ、旅に行かせた。
旅の途中、日が暮れたのである山寺に泊まることにした。
中に入るとさびさびとして変な気配がしたので、床の上には寝ず、床下で寝ることにした。
夜中、たいへんな騒ぎに目を覚ますと、床の上で、舞ったり、踊ったり、太鼓を打ったりして、「ショーの国のゴータローに聞かすなよ。スットン、スットン、ドドン、ドドン、ドドン」と歌っていた。
そして夜が明けて、静かになった。
目の悪い子は、不思議なことがあるものだと、村に降りていくとある家の人たちがみんな泣いていた。
その村もさびさびとしているので、訳を聞くと「その家の娘がいけにえになることになった」という。
「いけにえはどうして決めるのか」と聞くと、「村頭が天に向かって矢を放ち、矢が落ちた家の娘がいけにえになる」という。
「どこにいけにえを出すのか」というと、「あの山寺だ。いけにえを出さないと村の作物が全部荒されて、餓死してしまう」という。
その子は、「昨日、その寺に泊まったら、『ショーの国のゴータローに聞かすなよ、スットン、スットン、ドドン、ドドン、ドドン』という声が聞こえた。
そのゴータローを彼らは怖がっているはずだから、私がショーの国に行ってゴータローを捜してきてやっつけさせような」といって、ショーの国に行った。
「ショーの国のゴータロー」と叫んで歩いていたら、あるおじいさんが出てきて、「どうした、ショーの国のゴータローは私の犬だが」といった。
「犬でもいい。私に貸してくれ」といって、ゴータローという犬を連れて村に戻った。
そして、いけにえを出す日に棺箱を作って、その中にゴータローを入れて山寺の中に置いた。
夜、化物たちが出ていけにえの箱を開けると、ゴータローが飛び出て化物たちをみんな食い殺した。
翌日の朝、村人が山寺に行って見ると、たくさんの猿が食い殺されていた。
そしてゴータローも傷ついて死んでいた。
村人は立派な棺箱を作り、ゴータローを入れて村人に担がせて主人に届け、「化物を退治するために、相討ちして死んでしまいました。
ゴータローのおかげで、村ではいけにえを出さずにすみました」と村からたくさんの贈り物を持っていってお礼を述べた。
また、目の見えないその子にも、村からたくさんのお礼の品を待たせ、駕籠に乗せて家まで連れていった。
母親は「目の見えない者が世の中の役に立った」と、たいへん喜んだ。

語り 山本川恒さん 叔父・川順からの伝承  (聴き取り)1981年9月10日話者自宅にて
中分類民話・伝承話

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