オリイオオコウモリ

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空を飛ぶ哺乳類・オリイオオコウモリ

No文61
資料名(よみ)●そらをとぶほにゅうるい・おりいおおこうもり
概要名護市広報・市民のひろば1995年(平成7年)3月号掲載。名護市の自然61 
詳細 夕暮れ間近かの薄暗い中を、エサを求めて市街地近くを飛び回る哺乳類がいます。この空を飛べる哺乳類は人が建てた高層アパートもものともせず、どこからかゆうゆうと飛来してきます。今夜のごちそうはなんだろうか。この空を飛ぶ哺乳類は、羽を広げると60cm近くもある大型のコウモリで、沖縄本島を中心にすんでいる「オリイオオコウモリ(クビワオオコウモリ科)」です。オオコウモリの仲間は他に県内では先島諸島にヤエヤマオオコウモリ、大東諸島にダイトウオオコウモリがすんでいます。
 オオコウモリ類は夜行性で、昼間は森の密生する木立ちにとまって眠っていますが、夕方になるとエサを求めて、学校、公園、街路樹、庭先などの実を付ける大木に飛来します。時には「ヒンプンガジマル」に数頭集まって「ギャー、ギャー」と騒いでいることもあり、名護城のような森林地域でもよく見られます。
 主なエサはモモタマナ(コバテイシ)、フクギ、バンジロウ、アカギなどの果実で、時にはアコウ、ハンノキ、イタジイなどの新芽も食べる純粋な植物食です。特にイチジクの仲間であるガジュマル、オオバイヌビワなどは好物で、昼間にこれらの実が鈴なりになった大木の下を見ると、ペリット(食ベかすを吐き出したもの)が無数に落ちていることで、よく利用されていることがわかります。しかしながら、果実食であるため果樹園のミカンやビワを食して人に害を与えることがあり、農家にとっては困りものでもあります。
 オオコウモリ類は、哺乳類の種類が少ない琉球列島では南方系の野生生物として貴重なものです。しかしながら、かつて沖縄にすんでいたもう4種の「オキナワオオコウモリ」はすでに絶減(ぜつめつ)したとされていますので、これから野生生物と共存するための良い環境や方策を創り上げたいものです。 (嵩原/95.2)

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