ボウズハゼ

滝のぼりのチャンピオンは

No文12
資料名(よみ)たきのぼりのちゃんぴおんは
概要名護市広報・市民のひろば1990年(平成2年)3月号掲載。名護市の自然12
詳細 5月5日は端午の節匂。滝をのぼるコイのように、元気な子に育ってほしいという願いをこめて、男の子がいる家庭ではコイのぼりをあげます。
 5月5日は端午の節匂。滝をのぼるコイのように、元気な子に育ってほしいという願いをこめて、男の子がいる家庭ではコイのぼりをあげます。
 中国では、「黄河の上流に滝門と呼ぶ急流があり、そこを泳ぎのぼったコイは竜になって天へ昇る」という伝説があります。それがコイのぼりの由来といわれています。コイは、苦難に打ち勝って出世する活きの良い魚だというわけです。堂々とした体格をし、立派な口ひげもたくわえています。王者としての貫禄を備えていることは確かです。しかし、いまどきコイが竜に変身することを信じる人はいないでしょう。また、コイが垂直に切りたった滝をのぼったという報告もありません。
 ところが、川魚の中には、落差40m以上もある轟の滝や、比地の大滝なども平気でのぼる強者もいます。 オリンピック選手顔負けの特技を持つその魚は、ウナギとハゼ類です。彼等は、ジャンプして滝を飛び越えるのではありません。一気に泳ぎのぼるわけでもありません。時間をかけてよじのぼっていくのです。四つ足の動物ならともかく、手足のない魚が一体どんな方法でよじのぼるのでしょう。
 ハゼは、沖縄ではイーブーと呼んでいます。ひっくり返して見ると、腹面に吸盤があります。その吸盤で岩肌にくっつき、胸びれを使ってよじのぼるのです。ウナギは、岩の割れ目やコケなどを足場にして、よじのぼっていきます。
 山原の川は、滝のほかに砂防ダムや取水せきなどがつくられ、魚の行き来を防げるものが多くなりました。海からのぼってくる魚の中で、これらの障害物を越えることができるのはウナギとハゼ類の一部だけです。
 ユゴイ(方言名 ミキュー)やアユなど、多くの魚はせき止められて川へ入ることができません。沖縄の川魚のうち90%以上は海と行き来して生息しています。そのため砂防ダムや取水せきなどがつくられますと、川魚は著しく少なくなります。せめて、魚を通してやる魚道を造ってやるぐらいの配慮が必要です。(幸地)

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