オキナワウラジロガシ(安部)

オキナワウラジロガシの話

No文4
資料名(よみ)おきなわうらじろがしのはなし
概要名護市広報・市民のひろば1989年(平成元年)7月号掲載。名護市の自然4
詳細 カシの木といえば、まずドングリを想像することでしょう。照葉樹林文化の発達と結びつける人も多く、 カシの木は私たちの生活と深く関わってきました。沖縄にはカシの仲間が4種類分布しています。
 アマミアラカシは旧屋部村一帯の石灰岩質土壌に生え、安和のクバの御嶽には秋にドングリを落とす大きな木があります。この御嶽は不思議な場所で、他では一緒に生育することのないイタジイ (これもドングリをつけます)を見ることができます。この訳は、この辺りで山原の赤土と石灰岩が入り組んでいることにあるようです。
 ウバメガシは、「許田の手水」の裏山に一本の老木と何本かの幼木が生え、市指定天然記念物になっています。老木の幹は空洞になっていて、厳かで神聖な気分を味わう事ができます。ここがウバメガシの南限地という事ですが、いろいろ想像することも楽しいでしょう。一度訪ねてみてください。
 ウラジロガシは深い山に生えていて、なかなか目に触れる事はありません。今日は深山へ登らなくても、 オキナワウラジロガシの見つかる絶好の場所を紹介しましょう。汀間と安部の間を流れる小さな川治いで、県道際の低地から山手にかけて点々と生えています。ゴルフ場建設が予定され、サザンカなどの山取りの跡が見苦しいですが、このような低地にウラジロガシが生えるのは珍しいことです。他にも多くの植物が分布し、市民の訪問を心待ちしているにちがいありません。
 ウラジロガシは首里城構築にも使われ、古くから建築材として重宝されてきました。戦後しばらくは、名護山には、大きな板根をもち、大人二人が切り株に座って、楽に弁当を食べる事のできる大木があったと、当時の山師であった老人から聞きました。こんな大きなカシの木に、いつ出会うことができるのでしょう。 (新里)

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