大和万歳資料 01衣装類

指定名称大和万歳資料
指定分類番号04-03-01
資料解説奈良県指定有形民俗文化財「大和万歳資料」48点のうち、大和万歳を演じるときに着用した衣装類19点。

01-1 烏帽子(4点) :すべて横錆侍烏帽子
01-2 衣装上下(5対10点):上下一式で5組が残されています。2グループに大別されます。
 ①木綿、紺地丸に橘紋と菊、五桐の小紋を白抜きで散らし、下方に松川菱崩しを横に配したもの(3組)
ごく簡易な盤領型の襟(丸首、詰襟)で、ボダン、鞐(こはぜ)で留めとしていますが、これは後になって改変を加えたものと思われます。
 ②木綿、花色地丸に橘紋、菊枝文散らし(2対)素襖(素袍)の形式で、素材、染料からみても比較的新しいものです。
01-3 下着(3点):衣装の下に着すもの。3点、いずれも白木綿
01-4  帯(2点):下着用の細帯。いずれも白木綿。
資料説明詳細 江戸時代(18世紀後半~19世紀前半期)の大和万歳の装束は、侍烏帽子に素襖様とされることが多く、例えば大田南畝の随筆『一話一言』には、「和州ノ萬歳ハ太夫才蔵共ニ烏帽子素襖ヤウノモノヲ著ス」とあり、同時期に出版された『大和名所図会』(寛政3年=1791)の大和万歳挿図に、太夫は橘文様、才蔵は熨斗目と柄違いながら、共に素襖のような衣裳を身に着けた姿が具体的に描かれています。
  一方、幕末期に記された『守貞謾稿』では、「京坂等に出る者は大和州窪田箸尾の二村の農夫也(中略)大和萬歳の扮太夫は侍烏帽子に萌木染木綿の素袍に輪中に橘の記号を白く染出し腰辺藍色の所に経り二寸許の菊桐の記号あり袴同色同紋也各一刀を佩り才蔵無定紛蓋藍木綿長嚢を肩にして所得米銭を納む太夫の袴も平袴を用ひずかるさん或はたちつけ袴を用ゆ」としています。(挿絵が添えられ、太夫と才蔵では服装が異なります。また、太夫が懐に扇子、手に鼓をもっています)。
 このコレクションには、明治~大正頃に撮影されたと思われる写真4点が含まれており、当時の衣装とその着用の様子を具体的に知ることができます。
 
指定文化財総説 大和万歳とは、初春に、太夫と才蔵の二人一組で家々を訪れ、家や人の繁栄を祝う賀詞を歌って舞い、米銭などを受け取る祝福芸の一つです。近世には、特色をもったいくつかの系統の万歳が各地で行われるようになり、広瀬郡、平群郡、式下郡などから訪れ、京周辺、大和国内を旦那場とし、巡回する「大和万歳」もよく知られていました。
 明治期には開化諸政策の中、一旦廃止となりましたが、その後復活、大正年間までは畿内に巡回していたようです。しかし、昭和初期には廃止の申し合わせが行わたようで、昭和40年代頃に入ると、伝承者も皆無となったようです。
 昭和30年4月、奈良県の無形文化財の指定を受けていますが、昭和52年、奈良県文化財保存顕彰規定が、文化財保護条例となった際には、後継者がいないとして指定替え、更新が行われませんでした。
 本資料群は、本資料は、昭和56年(1981年)4月、最後の伝承者の御子息(故人)より寄贈を受けたものです。途絶した大和万歳のかつての活動を具体的に伝える貴重な遺品です。

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