ID1610
資料名(よみがな)ハタ
別名ハタゴ、高機、大和機、上機
点数1
型式・様式傾斜型高機
材質木(マツ)、歯車部分:樫、鉄爪
寸法(高さ、縦)cm122.50
寸法(幅、横)cm81.20
寸法(奥行き)cm181.10
製作場所奈良市毘沙門町
資料解説 「奈良/びさ門町/はた佐」の焼印があり、奈良町で製作された機であることがわかります。
 肩(間丁)までの桁丈が1197mmで、当館が所蔵する他の大和機に比べて150~200mmも長いのが特徴です。
 このタイプの傾斜型高機は、今日一般に「大和機」と称され、奈良県内に広く分布しています。当地方における高機の導入は、商品麻織物「奈良晒」用の麻布生産が契機といわれています。
 大和機の独特のフォルムは、伸縮性が乏しく、張力に弱い手績みの麻(苧麻)糸を用いて効率のよい高機で織るための工夫ということができます。肩(間丁)が長く突き出たこの機は、当館の大和機の中でも、麻織り用の機としての形を最もよく受け継いでいます。
資料説明詳細 大和機は形態上、①ロクロ仕掛け2枚綜絖の平織り用高機、②前脚が長く、織前から前方に向かって機台が傾斜する、③踏木の支点が前方にある、などの特徴をあげることができます。奈良晒業が急激に発展をみる慶長年間(1596~1615)に、その原布(生布)を織る機として導入され、奈良町に機細工職が現れたといいます(『奈良曝布古今俚諺集』)。その後、木綿織りにも使用されるようになり、大和絣生産が終息に向かう1960年代まで約350年にわたって、奈良県の繊維産業を支えた機です。
 また、19世紀、日本各地の木綿織産地における高機導入期に移入され、その系譜を引く機の分布は、三河地方から中国地方に広がるといわれます。
 当館には、奈良県全域から20台以上収集されています。a)奈良町の機、b)奈良町の機を基本として周辺地域で製作された機、c)大和絣用の機、に大別され、県内における変遷、改良工夫の跡を具体的にたどることができます。

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