聖アンデレ
| Title | St. Andrew |
|---|---|
| 作者 | 作者不詳 (スペイン) |
| Artist | Unknown Artist, Spanish |
| 制作年 Year | 15世紀中頃 |
| 素材・技法 | テンペラ、油彩・板 |
| Materials/techniques | Tempera and oil on panel |
| サイズ Size | 66.5×38.7cm |
| コレクション等 | 須磨コレクション |
| 解説・読み下し | 聖ユダは『ヨハネによる福音書』14章22節にて「イスカリオテでない方のユダ」と記されるように、後にキリストを裏切るユダとは異なる使徒で、聖タダイとも呼ばれる。キリストの昇天後、パレスチナに隣接する国々へ福音を伝え、聖シモンとともにペルシャで殉教した。本作でユダは大きな巻紙を抱えており、そこには彼の名を示す「聖ユダ(SAN IUDA)」の文字が見える。 聖アンデレはヨルダン川が注ぐガリラヤ湖で漁を営んでいた人物。『ヨハネによる福音書』1章には、洗礼者聖ヨハネと過ごしていたところで兄の聖ペテロとともにキリストに召命されたことが記される。この二人はキリストの最初の使徒である。後にスキタイ人の領土やギリシャで伝道に努め、ペロポネソス半島のパトラで殉教した。元来、アンデレの図像の典拠は聖書外典の『アンデレ行伝』などに求められ、特に14世紀末頃までにはX字型の十字架が彼の持ち物として一般化したようだ。本作の図像もそれに則っている。 両作品とも細緻に文様が打たれた金地背景に聖人の上半身を表した板絵である。美術史家ポストらの先行研究によれば、元々はカスティーリャ地方の街ビリャロボスにあるサン・フェリクス聖堂に設置された祭壇衝立のプレデッラ——衝立の最下部に位置し、小型の板絵や彫刻を水平方向に嵌め込んだ部分——を構成していたもので、1434-1468年頃に活動した画家ニコラス・フランセスの後継の手になると目される1)。フランドルなど北方の影響を独自に消化することで練り上げられた、スペインにおけるゴシック美術の典型的な様式を今に伝える優品といえよう。両作は同じプレデッラを飾った他の2点——聖バルトロマイと福音書記者聖ヨハネを表したもの——とともに、かつてグラナダの個人コレクションに含まれていた。それらの散逸後、1941年の夏に、当時マドリードに駐在していた須磨彌吉郎の手に渡ることとなった。(『長崎県美術館コレクション選』2025年、19頁) 1) Chandler Rathfon Post, A History of Spanish Painting, vol. V, Kraus Reprint Co., New York, 1970, pp.321-323. |
