タイトル
タイトル(よみ)
タイトル(英語)Hand
作者岸田 劉生
作者(よみ)きしだ りゅうせい
作者(英語)KISHIDA Ryusei
制作年1916(大正5)年
サイズ25.3×20.0cm(楕円形)
解説描かれているのは妻・蓁の左手で、薬指には指輪がはめられている。劉生はかつて、「手は人間の肢体の中でも最も線の交響の微妙な部分である。其処には無数の美くしい線が秘くされてある。力のある画家はその力その美を捕へる。」と綴った。自身の人物画においても、手に植物を持たせたり、胸の前に手を置いたりと様々な形で描いており、手というモチーフに寄せた高い関心が窺える。
また、《手》の裏面には、果実を持つ蓁の手を描いた未完の油彩画が残されている。劉生の1916(大正5)年4月21日の日記に記されている「蓁の手に、橙を持たして楕円形の板にざつとした写生した」は、この裏面のことであろう。その後表面が11月10日に完成していることから、初めは裏面の果実を持つ手の制作を進めていたが、途中で断念し、表面に新たに《手》を描いたと推測される。

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