ガラス花瓶のバラ(3)

タイトルガラス花瓶のバラ(3)
タイトル(よみ)がらすかびんのばら(3)
タイトル(英語)Roses in the Glass Vase (3)
作者ベルナール・ビュッフェ
作者(よみ)べるなーる びゅっふぇ
作者(英語)Bernard BUFFET
制作年1976年
サイズ73.0×54.0cm
解説第二次世界大戦中のナチスによるパリ占領という惨劇とその後の荒廃ぶりを目の当たりにしたビュッフェは、暗い色調と黒く鋭い描線という独自の具象表現を通して、戦後の殺伐とした空気を描き出した。その作品には、人物画、風景画に限らず、本作のような静物画であっても、不安や孤独、虚無感といった特有の気分が通底している。
この絵に描かれているのは花瓶に活けられた薔薇(ばら)の花束である。薔薇は本来、愛や美を象徴する花であるが、この画面にはどこか不穏な雰囲気が漂っている。
それは背景の暗く沈んだトーンのためでもあるが、華やかさをもたらすはずの赤やピンク、白い薔薇の花の輪郭が黒い線で縁取られていることが大きく作用している。
また、台の縁近くに置かれた花瓶がいかにも不安定で、その台も傾くように描かれていること、さらに、花瓶の影をくっきりと黒く表していることも、不吉な予感を増幅させる要素となっている。(M.T)

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