くちなし妃の柵

タイトルくちなし妃の柵
タイトル(よみ)くちなしひのさく
タイトル(英語)PRINCESS KUCHINASHI
作者棟方 志功
作者(よみ)むなかた しこう
作者(英語)MUNAKTA Shiko
制作年不詳
サイズ24.3×21.3cm
解説志功の女性像といえば、この作品のように首から上だけを大きくクローズアップした作品がまず思い浮かぶ。「志功の大首絵」は人気も高く、昭和30年代から晩年に至るまで繰り返し制作された。
実際よりも先を尖らせたくちなしの花や葉が、女性の顔や身体のふっくらとした柔らかさを際立たせている。
また、色彩に注目すると、白いはずの花が薄い青で描かれている。全体を青、紫、緑の寒色系でまとめることによって、女性の頬や衣の暖かみのある朱色を引き立てているのである。
この彩色には、和紙の裏側から色を差して表面に滲み出させる「裏彩色(うらざいしき)」と呼ばれる技法が用いられている。墨一色の木版画を刷った後に一点ずつ手で彩色するため、同じ絵柄でもその色彩表現は異なる。
志功は「裏彩色」について、「なごやかな気分を板画にただよわせます。また、やわらかい。ほのぼのとした気分を板面に流れさせる効果があります」(『板画の話』、1954年)と語っている。(M.T)

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