坐ることを拒否する椅子

タイトル坐ることを拒否する椅子
タイトル(よみ)すわることをきょひするいす
タイトル(英語)The Chair that Refuses to Seat Anyone
作者岡本 太郎
作者(よみ)おかもと たろう
作者(英語)OKAMOTO Taro
制作年1963(昭和38)年
サイズH45.0cm
解説岡本太郎による信楽焼。つややかな表面の色や絵柄も釉薬によるものである。タイトルには椅子とあるが、「坐ることを拒否する」とはどういうことだろう?
たしかに座面に顔が描かれていては、腰をおろすのは気が引ける。ぎょろりとした目でにらまれ、ギザギザの歯で噛みつかれそうとあっては、なおさらである。実際に使ってみると、ずっしりとした陶の重みによる安定感はあるものの、表面に凹凸があり、決して坐り心地がよいとはいえない。
岡本は、人間工学に基づき、快適さを追求したモダンな椅子に対して強い嫌悪感を表明している。それは怠惰な無気力をもたらすだけである。そうではなく、笑いや遊び心があり、一息入れたら再び前進しようという気分にさせる椅子。人間に従順でなく、抵抗することもあるが、「人生の武器」ともなりうるもの。それが「坐ることを拒否する椅子」であった。岡本の言葉によれば、彼らは人間と「対等づら」をした存在なのである。 (M.T)

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