扇子鯉魚図

タイトル扇子鯉魚図
タイトル(よみ)せんすりぎょず
タイトル(英語)Fan, Carp
作者棟方 志功
作者(よみ)むなかた しこう
作者(英語)Munakata Shiko
制作年不詳
サイズ15.0×46.8cm
解説扇面いっぱいに、その形に合わせるように身をひねる姿で描かれた一匹の鯉。頭部から尾に向かって勢いよく筆を動かすことから生じた墨のかすれと濃から淡への色の変化が、水を切って泳ぐ鯉の躍動感をよく表している。
志功にとって、鯉は大切な主題であった。すでに戦前から油彩画や肉筆画で鯉を描いているが、戦時中疎開した富山県福光町(現・南砺市)の住居では部屋の板戸に《滝登りの鯉》や《雨に打たれる鯉》を描き、その画室は「鯉雨画斎(りうがさい)」と名づけられることになった。また、1940(昭和15)年には親交のあった大原孫三郎(大原美術館創設者)のために《御群鯉図屏風》を制作している。
戦後になると、滝を登る鯉の図に「大鵬(たいほう)一氣九萬里」などと中国故事にちなんだ句が添えられたものが多くなる。伝説上の巨大魚「鯤(こん)」がやがて巨大な鳥「大鵬」となり天を舞うというもので、志功が鯉に託していた思いがうかがえる。(M.T)

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