観世音菩薩 宝冠蓮坐像

タイトル観世音菩薩 宝冠蓮坐像
タイトル(よみ)かんぜおんぼさつ ほうかんれんざぞう
タイトル(英語)Kanzeon Bosatsu(Avalokitesvara)
作者村上 華岳
作者(よみ)むらかみ かがく
作者(英語)MURAKAMI Kagaku
制作年1935(昭和10)年
サイズ108.0×31.0cm
解説宝冠をいただいた聖観音の坐像であるが、右足を上げるようなしぐさが見える。左手には蓮台を持ち、右手は忿怒拳とおもわれる印を結んでいる。尊顔は赤みを帯び、やや見下ろすような厳しい表情である。光背の後方に燃え上がるような炎が薄く描かれている。つまり、これは忿怒相で火焔光背を持つ不動明王など密教の仏のイメージを重ねた作品である。華岳は仏の中でも観音を最も多数描いた。そして女性の理想像、深い瞑想、人間の苦悩など多様なイメージを重ね合わせた。彼は10代のころ父に死別、母とは生き別れとなった体験がある。その後は裕福な家の養子となり画家として大いに活躍したが、この作品を描いた晩年期は、喘息に悩み、画壇からは孤立していた。深い幻想性、瞑想性で知られる彼の仏には、悲喜こもごもの境遇が影を落としている。(H.S)

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