二の腕妃の柵

タイトル二の腕妃の柵
タイトル(よみ)にのうでひのさく
タイトル(英語)Princess Ninoude
作者棟方 志功
作者(よみ)むなかた しこう
作者(英語)MUNAKTA Shiko
制作年不詳
サイズ33.8×25.9cm
解説両腕を高く上げ、髪の毛をつくろう一人の女性。頭を傾け、それに合わせて左腕を伸ばすことにより、また、左ひざを折り、右ひざを立てることによって全身を画面に収め、なおかつ身体の占める部分が最大となるよう工夫されている。
身体は黒地である。画面の半分ほどを占めるこの黒い塊が大木のようにどっしりとした女体の存在感を表している。
黒地を大きく取り入れることには他の意図も関わっていた。志功は彫りを減らし、板そのものが持つ美しさを黒い面として活かそうとしたのである。
そのためには黒地に白い線一本で輪郭を彫り出さなければならないが、1945年の《鐘渓頌》においてその試みがなされ、志功は手ごたえを得ている。
「はじめてまっ黒い身体の中に刀をあてて、人間の身体を出す方法をつかみました。お乳、臍(へそ)、眼、腕とかの線を、黒いところに彫り込んでいったのです」(『板畫の道』、1956年)。
こうして黒い女体像は志功のトレードマークの一つになったのである。(M.T)

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