足柄山の図

作者岡田為恭 OKADA Tamechika 1823 1864
制作年代江戸時代(19世紀)
員数1幅
素材・技法等絹本著色
大きさ(単位cm)32.8×74.0
収集年度1972
コレクション吉川観方コレクション
所蔵品番号00062
作品解説 岡田為恭は、京狩野家を継いだ狩野永岳の弟狩野永泰の子として生まれたが、若い頃から古い大和絵や伝統的な宮廷文化の復興を目指し、絵巻など古画の模写・学習を通じて画風を形成した。また、王朝風の仮名書にも優れた。
 本図では、平安時代、奥州で戦う兄義家に加勢するため戦場へ向う源義光が、同行しようとした楽人豊原時秋に対し、時秋の亡父豊原時元から伝授を受けていた管弦の奥義を絶やさないため、相模国の足柄山で時元自筆の曲譜を見せ、時秋持参の笙を吹いて曲を伝授し、都へ帰るように諭したという説話を描いている。為恭は、芸術の継承に関するこの説話を度々画題とした。
 山中の平坦な場所で両者が向き合い、義光が吹く笙の音に合わせ時秋が譜面を見ながら右手で拍子をとる姿を描いている。樹葉を緑青で濃密に彩色し、遠方に山の頂を添えることにより山深い趣きを出し、それ以外は余白を広く取りあっさりと描写した背景に、2人の人物を丁寧な線と鮮やかな色彩で描き、王朝時代の風雅な一状景を表現している。
 「蔵人所衆正六位下式部省大録菅原朝臣為恭図之」の款記と朱文方印「菅」があり、為恭が正六位下式部大録 の官位に在った嘉永3(1850)年6月から安政2(1855)年1月までの作とわかる。

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