疑似針(ルアー)

資料番号Ⅳ-544-1-S
材質木、貝、骨、植物繊維
地域オセアニア
国名ニュージーランド
民族名マオリ
収集者今泉隆平
コレクション名今泉コレクション
資料解説 パ・カハワイ(Pā Kahawai)は、「カハワイ」(マルスズキ、日本にはいないスズキ種の魚)を釣るためのルアー型の擬似餌である。キラキラ光る部分には、パウア(アワビの仲間)が使われており、釣り針の部分は鯨などの骨であろう。それらは紐で固定されている。
 このタイプの擬似餌は、西洋との接触以降作られたものとされている。それ以前は、石で小魚の形を作り、骨で作った針と、鳥やペンギンの産毛を取り付けていた。しかし、ヨーロッパとの接触以降、鉄製品の流入によって形が変わり、おそらく釣り針等も付け替えられたため、完全な状態での旧来のタイプの擬似餌は博物館には残されていないという。
 この形状のパ・カハワイは、その珍しさから多くの収集者の注目を集めた。例えば、1895年には、ジェームズ・バターワース(James Butterworth)という収集家によって、400点のパ・カハワイと176点の釣り針が売りに出されている。このような潮流の結果、現在も多くの博物館にこれらが収蔵されているのである。このように高い需要があったので、マオリのコミュニティも観光客向けにこうした釣り針を作るようになっていたようで、実際に釣りに使われていなかったものも多いという。
 パ・カハワイを使う時は、カヌーの後ろに何本か短めの竿を立てて釣り糸を垂らす。そして、魚の群れの上を勢いよく漕ぐ。パ・カハワイに魚が食いつくと、短い竿が少ししなって戻るので、その勢いに合わせて引っ張れば魚が釣れるというわけである。1886年に執筆されたニュージーランドの釣りに関する書籍によると、漕ぎ手と釣る人の二人で作業をしたところ、2~3時間で400匹近くを釣ることができたという。
資料解説記述者土井冬樹(天理大学)・2025年度Innovate
Museum事業

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