マランガン像

資料番号Ⅳ-233-N
材質木、巻貝のフタ、石灰、赤土、黄土、墨、植物繊維、土(粘土)
地域オセアニア
国名パプアニューギニア
地名ニューアイルランド州 タタウ島 タタウ村
民族名タバール
収集者今泉隆平
コレクション名今泉コレクション
資料解説 軽柔な木材から製作された彫像。資料台帳によれば、ニューアイルランドの葬送儀礼マランガン(Malangan)にて実際に使用された造形物だという。マランガン儀礼は、故人の死後数ヶ月から数年後に行われ、複数の故人を対象に開催される。当該儀礼では舞踏に加えて、専門の彫刻師の手による造形物の製作と展示が行われる。彫刻師は、母系集団のトーテムに関する神話を依頼者から伝え聞くことでそれを造形物に刻み込むという。儀礼後、造形物は燃やされるか、森や洞窟などに打ち捨てられ、朽ちるままにされる。
 剥き出しの歯列とリュウテンサザエ科の貝を加工した部材を嵌入した眼が、観る者に非常に力強い印象を与える。全体に装飾的な表現が施されており、例えば、像の胴体正面と背面の頭上には鳥を象った副像が確認できる。また、胸部には円と紡錘形を組み合わせた線描の意匠が施されている。これはシャコガイ製の円盤と彫刻を施したべっ甲板を組み合わせた装身具カプカプ(Kapkap)を表現したものと考えてよい。
 彩色には赤土(赤色)、石灰(白色)、炭(黒色)が用いられている。興味深いことに、本資料は正面が鮮やかに彩色される一方、背面は全体的に黒く塗られており、赤色は殆ど施されていない。また前頭部には泥と樹脂からなる混合物の土台にココヤシの繊維の束を多数埋め込むことで表現した頭髪が確認できるが、後頭部には頭髪は表現されていない。20世紀後半に撮影された写真からは、儀礼の最中、彫像が植物製の垣根に立て掛けられて展示されていた様子が確認できることから、もしかすると、本資料は背面が参列者の目には触れられないことを前提に製作されたのかもしれない。本資料の製作者と伝わるエドワード・セール(Edward Sale)氏は当地で名の知れた彫刻師であり、彼の製作によるマランガン彫像がオーストラリアの博物館などに収められている。
資料解説記述者臺浩亮(慶應義塾大学グローバルリサーチインスティチュート共同研究員)・2025年度Innovate
Museum事業

関連する資料

PageTop