戦闘用ハンマー(つち)

資料番号Ⅵ-119-N
材質
地域オセアニア
国名フィジー
民族名フィジー
収集者今泉隆平
コレクション名今泉コレクション
資料解説 トトキアのような両手で持つ棍棒(イ・ワウ)は接近戦で用いられた。片手用棍棒(イ・ウラ)より長く、概して腕を伸ばした際の胸骨から指先までの長さを基準に作られていた。フィジーでは盾や鎧が使われなかったため、イ・ワウの柄は防御用の杖としても機能し、攻防一体の武器であった。柄には滑り止め目的のギザギザ装飾が彫られ、さらにココナツ繊維などで編んだ細縄が巻かれることもある。柄の末端には丸みを帯びた短い円錐状の突起があり、縄止めの役割を果たしていた。
 イ・ワウには形状による分類があり、柄の先端から打突部にかけて美しい丸みを帯びながら直角に近い角度で曲がるものをイ・トゥキと呼ぶ。その中でも、本資料のように球状の打突部にパンダナスの実を模したブツブツの突起が均一に彫られ、球の中央から円錐状の突起が一本大きく飛びだしているものはトトキアと呼ばれる。トトキアは社会的地位の象徴であり、戦場では特定の熟練戦士のみが使用した特殊な戦闘具だ。大きく飛びだした突起でこめかみを一撃すれば、頭蓋冠を破壊せずに頭蓋骨を貫通できるとされる。損傷を受けなかった敵の頭蓋冠は寺院に飾られ嘲笑されたり、嗜好飲料ヤンゴナを飲むカップとして使われ侮辱を受けたりなどした。死後も敵を侮辱するという行為はフィジー戦士が好んだ方法であり、戦闘が宗教的・社会的意味を帯びていたことを示す。この背景からトトキアは「最もフィジーらしい棍棒」と称されることがある。
資料解説記述者渡辺文(同志社大学)・2025年度Innovate
Museum事業

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