俳壇さしき

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発行年月日1996/04/10
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記事内容文化協会俳句教室3月例会より瀬底月城選

紙帽子夜目に白々批杷実る 我謝隆
(評)鳥害から守るため、白い紙で包んだ枇杷の実の姿を「紙帽子」をかぶっていると見たてる。
ヤマトでは枇杷は6月から採れるが、沖縄では一足さきに4月には熟する。白帽子に豊作と愛情を込めた佳句。

さざえ売る大きなピアスの運転手 新垣春子
(評)大きな耳飾りの運転手がアルバイトのさざえを売っている。これだけの写生俳句だが、小漁港の鮮魚店など周囲の様子も見え、売り声も聞こえる。私もつい、さざえを買ってしまった。

裏門に黄花イッペー旅の宿 安里洋子
(評)沖縄での一日旅の、裏門のイッペーの花盛りである。日頃の草花を愛する心が裏門のイ
ッペーの発見となり句となる。イッペーはイペーともいい、ブラジルの国花で黄色と紅紫の
花種がある。

新糖を頬張る婆ら饒舌に  富永尚
(評)なつかしい昔の香りのする新黒糖(みーさーたー)で頬も動く。若い頃苦楽を共にした話、モーアシビーの思い出。沖縄戦を生き残り健康だから、ついロも軽く話もはずむ(饒舌)。嫁をほめる話でありたい。

老斑の手のつまみをり雛の菓子  儀間一恵
(評)私達の子供の頃、雛祭の歌は唄ったが雛祭りもお雛様も無かった。孫達の雛祭のヒナアラレを、黒い老斑のある指で一寸つまんでロの中でポリと噛んでみる。沖縄に雛祭りも定着したようだ。

※選者句
一本の紅葉且つ散るももたまな

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