長井線駅シリーズ 赤湯駅
資料ID | 5299 |
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作者 | 菊地隆知 |
制作年 | 1986 |
公開解説 | 先月の表紙「中川駅」が貨車一両分の駅舎に変身、話題提供をしている。この駅開業は明治三十六年、もう八十余年になる。でも昭和五十年には無人駅となっている。開業以来の木造駅舎の老朽化により三月に工事が始められこの程中々可愛い駅舎が新装オープンしたことが知らされた。もとの駅舎の六分の一というコンパクトサイズ、三角屋根で全体が白色で明るい。見れば童話の中にでも出てくる様なお菓子の家とも見られるような気もしてくる。 中川地区は県ブドウ発祥の地と云われ、南陽市内のブドウ畑の三分の一がここに集中しているという。勿論汽車の中からも充分うかがわれることである。本誌61号の朝日町和合の林檎と同じくそのものの栽培に必要な条件がいくつかあって、ブドウ栽培にここ南陽市はピッタリ合っているのだろう。盆地性の気候が適している、生育期に昼と夜の温度差がどうなっているとか、上げられているが、ブドウの古里、南陽市の名をはせている源となっているのであろう。国道13号線の右、左に多く並んでいるのが観光ブドウ園、また直売所である。鉄路の右、左の山からブドウの棚が目に映る南陽市地内であるが約三百㌶の畑がひろがっていることになる。 ブドウ畑を縫い「赤湯駅」にむかってトンネルをくぐり左手の樹間に見える湖、白竜湖は釣り人やボート客でよくにぎわっているのが見おろせる。いつ頃の太古であるか昔この白竜湖が庄内地方まで連なっていた大湖水だったと伝えられているが現在はその名残りといわれているということである。湖表面は八・八㌶、東西三五〇㍍、南北三〇〇㍍の小さな湖である。この湖と人間のかかわりは、その伝説、干ばつに恵みの雨を降らせた僧と天に昇った白い竜のことなどと共に、歴史は動植物体系、農耕、文化等に考えられることであろう。「蜘蛛百態」「飛行蜘蛛」「空を飛ぶクモ」など多くの著書を持つ錦三郎氏はそう遠くない赤湯旭町に住んでおられる。 今月の表紙は赤湯駅の長井線発着ホームである。駅シリーズとして満三年、三十六回目になる。荒砥より歩き幻の左荒線も経て奥羽線を回り戻って来た。先頃「第六回長井線まつり」が南陽市民会館で行なわれた。「長井線を活性化する総決起大会」である。翌日の各新聞は、四、五段の紙面をさき、会場全体の写真も載せている。四人のミスも一日駅長として参加その容姿を添えてくれていた。 |
公開解説引用 | 【芳文80号】 |