TitleEarly Evening
作家名伊東深水 ITO Shinsui
技法・素材彩色、絹
制作年1933
制作年(和)昭和08
寸法縦(cm)79.50
寸法横(cm)99.30
作品・作家解説伊東深水[いとう・しんすい]
1933(昭和8)年 彩色、絹、軸 79.5×99.3cm

簾(すだれ)越しの涼風を受けまどろむ女性。後ろ姿には上品な色香が感じられます。モデルは裏千家15代家元夫人の母と伝えられています。藍染めの浴衣(ゆかた)に腰巻きの赤がほのかに浮き立つ風情、白いうなじから流れる肩の線、そして団扇(うちわ)を持つ手の先まで、繊細さが行き渡る迫真の描写です。背景は薄い墨の濃淡で忍び寄る夕闇を暗示し、簾に止まる馬追虫(うまおいむし)が秋の近いことを告げています。お尻を中央に据えた大胆な構図が、単なる美人画の枠を打ち破ろうとする画家の精神をうかがわせています。深水は「変遷する風俗を端的に表すのが女性だ。美人画も時代と共に変化すべきだ」と述べています。この作品も失われつつある日本の夏の暮らしを叙情豊かに描いた風俗画でもあります。近代の浮世絵師を自認した深水30代の代表作です。

伊東深水[いとう・しんすい] 1898(明治31)―1972(昭和47)
本名一(はじめ)。活字工として働きながら日本画家を志し鏑木清方に師事。10代で再興院展、文展に入選。大正期には新版画運動に参加し、一時期、木版画や挿絵に専念。1924年帝展に復帰。58年芸術院会員。浮世絵の系譜を継ぐ最後の美人画家として同時代の女性風俗をあでやかに描いた。

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