朧夜

TitleMisty Night
作家名横山大観 YOKOYAMA Taikan
技法・素材彩色、絹
circac.
制作年1924
制作年(和)大正13
制作年(推定) 
寸法縦(cm)62.00
寸法横(cm)83.50
作品・作家解説横山大観[よこやま・たいかん]
1924(大正13)頃 彩色、絹、軸 62.0×83.5cm

画面の右手前に満開の桜、左奥に連なって遠近感を表す樹木。それらをほのかな月明かりが包み込みます。ここでは、にじみやぼかしといった墨の濃淡を駆使して、蒸気がたちこめたような湿潤な夜の大気と情景が表現されています。横山大観は、再興日本美術院を率いていた大正期に中国・明代の名墨を手に入れてから、古墨を使った制作をするようになりました。水墨画の代表作である画巻《生々流転》(東京国立近代美術館蔵)は1923年の制作ですから、本作は、水墨表現が充実した時期の制作といえるでしょう。その一方で大観は、墨色に巧みに色彩をとりいれます。夜にしては明るいこの景色は、裏に金色を施した可能性もあり、桜の花びらには胡粉(ごふん)の白が映えています。

横山大観[よこやま・たいかん] 1868(明治元)―1958(昭和33)
幼名秀蔵、後に秀麿と改名。1889年新設の東京美術学校に入り岡倉天心、橋本雅邦に師事。96年母校の助教授となるが、98年天心の辞職に殉じ退職、下村観山、菱田春草らと日本美術院創設に参加、新たな日本画の創造をめざす。天心没後の1914年日本美術院を再興、精神性の高い数々の名作を発表し、大正・昭和の日本画壇をリードした。

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