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春雨 秋雨

TitleSpring Rain / Autumn Rain
作家名横山大観 YOKOYAMA Taikan
技法・素材彩色、絹
circac.
制作年1923
制作年(和)大正12
制作年(推定) 
寸法縦(cm)136.50
寸法横(cm)51.30
作品・作家解説横山大観[よこやま・たいかん]
1923(大正12)頃 彩色、絹、軸双幅 春雨136.5x51.3cm、秋雨136.8x51.4cm

巧みな水墨画の技法と動勢を強調した大胆な対角構図が見事に響きあって、うつろいゆく季節の詩情を醸し出す優れた対幅となっています。春の汀(みぎわ)の渡り板に憩う番鳥(つがいどり)。導かれて見上げると、春雨に煙る満開の桜が時を惜しむように空を覆い、リズミカルに描かれた土坡(とは)と風雪に耐えた松や春の訪れを告げる桜が、渾然一体となって羽ばたくような運動感を生み出しています。一方、これに呼応する切り立った秋の崖では、抗うように身をくねらせた楓が、遮るものもない空間に鮮やかに紅葉を浮かび上がらせます。秋雨は静かに紅葉を散らし、鳥にも旅支度を急がせています。水の変容を通して森羅万象を描いた代表作《生々流転》と同時期の作品で、さまざまな雨の表現に精通した大観ならではの秀作です。

横山大観[よこやま・たいかん] 1868(明治元)―1958(昭和33)
幼名秀蔵、後に秀麿と改名。1889年新設の東京美術学校に入り岡倉天心、橋本雅邦に師事。96年母校の助教授となるが、98年天心の辞職に殉じ退職、下村観山、菱田春草らと日本美術院創設に参加、新たな日本画の創造をめざす。天心没後の1914年日本美術院を再興、精神性の高い数々の名作を発表し、大正・昭和の日本画壇をリードした。

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