鳴鶏 

TitleCrowing Rooster
作家名小茂田青樹 OMODA Seiju
技法・素材彩色、紙
制作年1930
制作年(和)昭和05
寸法縦(cm)165.00
寸法横(cm)172.00
作品・作家解説小茂田青樹[おもだ・せいじゅ]
1930(昭和5)年 彩色、紙、屏風二曲一双 各165.0×172.0cm

小茂田青樹の作風を年代順にみると、前期の風景画や静物画にかわり、後期には花鳥画が多く登場してきます。ここに描かれているのは、昼下がり農家の庭先で雄鳥(おんどり)が鋭く声をあげ、その瞬間、あたりの空気が張りつめたような光景です。向かって左半双には雄鳥が、向かって右半双にはほぼ画面中央に雌鳥(めんどり)が描かれています。画面下方部には地面をあらわした隈がひかれ奥行きが与えられ、向かって左半双の左側にかごが装飾的に配されているほかは、鶏以外余分なものは描かれていない単純な構成です。色彩的にも雄鳥のとさかの赤以外はほとんど静かな色調で表現されています。そこには安田靫彦(ゆきひこ)や小林古径(こけい)など、当時の日本画界に見られた、線描を重視し十分な余白をいかす古典美に通じる傾向があらわれています。

小茂田青樹[おもだ・せいじゅ] 1891(明治24)―1933(昭和8)
松本楓湖(ふうこ)の安雅堂画塾に入門。同門の速水御舟と互いに研さんしあい、日本画の革新に大きな役割を果たす。今村紫紅の率いる〈赤曜会〉(せきようかい)の結成に参加。1921年〈再興院展〉同人となる。清澄な詩情あふれる風景画の他、写実と装飾を融合させた新しい近代の日本画を追求した。

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