公開解説 | 現在の阿蘇カルデラは約30万年前からの火山活動により形成されました。この間に4回の大規模な噴火が起こり、これに伴い流出した火砕流堆積物は下位からAso-1(約27万年前)、Aso-2(約14万年前)、Aso-3(約12万年前)、Aso-4(約9万年前)に区分されています。阿蘇山から流出した火砕流堆積物は熊本県を中心に広い範囲で観察でき、特に最も分布の広いAso-4の堆積物は海を越えて天草、島原、山口県でも見られます。火砕流堆積物は大きく分けると主に火山灰と軽石からなる未固結の堆積物と、高温と自重により軽石やガラス質の火山灰などが溶けてくっつき合ってできる溶結凝灰岩があります。阿蘇火砕流堆積物の未固結の堆積物は阿蘇カルデラ周辺の火砕流台地で観察することができます。一方、溶結凝灰岩は火砕流堆積物が厚く堆積しやすい各地の谷の部分に分布しています。この阿蘇火砕流堆積物は私たちの暮らしに密接に関係しています。熊本市などの地下水は阿蘇火砕流堆積物が地下水の通り道である帯水層となっています。また溶結凝灰岩は岩石の中では柔らかく加工しやすいため、昔から「阿蘇の灰石」と呼ばれ、石材として使用されてきました。 |
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