草花蒔絵飾棚

資料ID525
中分類工芸
小分類漆工
法量1点 幅90.2奥行39.5高67.6
制作年大正~昭和
作者名A二木成抱
作者情報二木成抱(ふたぎ せいほう)【1884~1954年(明治17~昭和29)】
 1884年(明治17)金沢市生まれ。本名、一喜。成抱の他に優進斎の号を持つ。蒔絵を山本利成に師事し、また加賀蒔絵の基礎を築いた五十嵐道甫、清水九兵衛らに私淑。伝統的な技法を継承しつつ写実性の高い作品を制作し、大正期に活躍した名工。1921年(大正10)第9回農商務省工芸展覧会に出品し、三等賞受賞。その後も毎年出品し、1926年(大正15)には再び三等賞を受賞している。1928年(昭和3)第9回帝展に初入選、以後帝展や新文展、日展などを中心に活躍。954年(昭和29)没。
資料解説 中段を違い棚とした二段、黒漆塗りの飾棚。筆返しを削り出した天板を乗せ、右下に引戸の戸袋を設ける。直線的な支柱は脚部分で外に広がり、幕板をつけて全体に安定感がある。本作には成抱だけでなく、宗元と読める銘印と、他に異なる印が一つあり、2名の協力者がいたと思われる。成抱の銘印があるのは引戸部分で、肉合研出蒔絵や高蒔絵を用いて土坡と流水に蛇籠、那木に椿が描かれている。蛇籠には、沃懸地風の地に置平目を施し、金銀の板金や螺鈿が用いられ華やかな印象となっている。波間へ大きく張り出した那木には大小の極込や切金、金銀の高蒔絵で表される椿には描割や付描など様々な技法が用いられている。中段には橋に那木が金薄肉高蒔絵であらわされている。また、棚の背面には葦が描かれ、天板の銀高蒔絵を主調とした2羽の鷺とともに秋の風情を感じさせる意匠となっている。

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