蓬来山蒔絵鏡箱

資料ID513
中分類工芸
小分類漆工
法量胴径14.4底径14.1高6.0
制作年江戸初期(17~18世紀)
作者名A伝清水九兵衛
作者情報清水九兵衛【?~1688年(~元禄元】
 清水九兵衛については確かな伝記は残っていないが、京都の生家は代々前田家の呉服御用を務めた家柄であるとされる。号を柳景という。蒔絵をよくした九兵衛は、加賀藩三代藩主前田利常に招かれた。金沢には、蒔絵師として足利義政に使えた家系の五十嵐道甫が同じく前田家によって先に招かれており、この五十嵐道甫とともに金沢で加賀蒔絵の基礎を築いたとされる。
資料解説伝 清水 九兵衛

 総体金詰梨地の円形、塵居を設ける印籠蓋造の鏡箱。蓋と身の縁に玉縁を巡らす。文様は松竹梅鶴亀を描いた蓬莱山の意匠である。蓬莱山は、不老不死の仙人が住む理想郷で、そこには松・竹・梅が茂り、鶴・亀が遊ぶという中国の伝説によるもの。日本では平安時代以降、物語や工芸に意匠として登場する。技法は金高蒔絵、付描、描割、金銀切金、金銀金貝、を用いており、特に流水や鶴の羽、松葉、梅花花心をあらわした付描、亀の顔、足に見られる描割、樹の幹や岩に見られる切金は巧みである。また、蓋表に鶴の飛ぶ空間には三方に加賀前田家の家紋である梅鉢文様が金銀金貝であらわされている。側面には蓋表とは別の松竹梅鶴亀の文様があらわされている。前田家伝来。

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