白磁壷

資料ID1549
中分類工芸
小分類陶磁
コレクション分類北出コレクション
法量1点 口径9.2胴径23.0底径15.0 高18.2
制作年1936年(昭和11)
作者名A富本憲吉
作者情報富本憲吉【1886~1963年(明治19~昭和38)】
 1886年(明治19)奈良県生駒郡の旧家、富本家の生まれ。1904年(明治37)奈良県立郡山中学校を卒業後、東京美術学校図案科に入学し、2年時より建築・室内装飾を専攻。1908年(明治41)11月卒業内定を取得後ロンドンに留学、翌年3月東京美術学校不在のまま卒業。1910年(明治43)帰国の途上知り合った青年画家レジナルド・ターヴィーを介してバーナード・リーチと知り合い、その後深い親交を結ぶ。富本の作陶は楽焼に始まり、土焼、白磁、染付と幅広い。1936年(昭和11)に石川県九谷で当時現代九谷焼を代表する作家であった北出塔次郎窯に滞在し、色絵磁器の技法を研究して以後は色絵の作品が多くなる。作陶を始めた大正初期の頃に、富本はリーチとの対話の中で、それまでに学んだ模様の知識を一切捨てる決意をし、模様制作の原点には自らが写生した自然を据えることとした。これは「模様から模様を作らず」として知られる富本の姿勢であり、この理念は近代工芸に多大な影響を残している。1935年(昭和10)帝国美術学校(現武蔵野美術大学)教授、1944年(昭和19)東京美術学校教授、1950年(昭和25)京都市立美術大学教授として後進の育成に努めつつ、晩年まで精力的に作陶を続けた。1955年(昭和30)色絵磁器で第一回重要無形文化財技術保持者に認定される。1963年(昭和38)6月没。

資料解説口縁部の立ち上がりは低く、肩から胴にかけて張りのある大らかな形状をした白磁の壷である。富本は透明感のある硬質な白磁ではなく、器体に厚みがあり、表面には小さな気泡が浮かぶ温かみのある白磁を数多く制作した。白磁作品はほかに染付・色絵・金銀彩を施した作品の素地としても活用されている。この白磁とほぼ同型である本学所蔵の「色絵四弁花文飾壷」はそのひとつの例だろう。「富」字の冠の一部が途切れている染付銘は、昭和11年に代々木山谷に別居を造り家二つになったことを示している。

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