(資料群)六車A家資料

資料群・作家名(ヨミ)ムグルマAケシリョウ

略歴・解説

 本資料群は個人宅で使用されていた道具2件からなる。
1件目の「ソニー ベータ方式ビデオカセットレコーダー SL-7100」はベータ方式のビデオデッキである。ベータ方式VTR 機器の1号機は、昭和50年(1975)5月ソニーから発売されたベータ方式ビデオカセットレコーダーSL-6300(通称ベータマックス)である。
 製造元であるソニーの窓口へ問い合わせたところ、本資料SL-7100はその翌年の昭和51年に発売されたという。同年には他社からVHS 方式の製品が発売され、昭和60年代まで家庭用VTR 機器の規格として、ベータ方式とVHS 方式が競合することとなった。寄贈者は昭和54年頃、ソニー製品の販売店で中古で本資料を購入し、家庭で使用していたという。
 2件目は謄写版の印刷器である。謄写版とは、鉄筆で文字を刻んだ原紙を木枠に張り、その上からローラーでインクを塗ることで下の紙に透過させる簡易印刷技術である。鉄筆で文字を刻む際の音から通称「ガリ版」と呼ばれる。
 「謄写版」は欧米の謄写印刷の技術をもとに明治27年(1894)に開発された製品の名前であったが、手軽に印刷できることから普及し、後には印刷技術を指す名称にもなった。謄写版は学校の配布物や機関紙、同人誌の作成などに広く用いられたが、簡易印刷の新技術が普及するにつれて、徐々に使用されなくなった。寄贈者が教員をしていた時期に本資料を購入し、昭和五十年代の一時期に使用していたが、間もなく別の印刷機を活用するようになったという。
 それぞれ映像と印刷物という違いはあるが、どちらも情報の伝達に関するものであり、昭和50年代の各種メディアの利用の様子がうかがえる資料である。
【参考文献】
田村紀雄・志村章子編著『ガリ版文化史 手づくりメディアの物語』(新宿書房、1985年)
ソニーグループポータル Sony History https://www.sony.com/ja/SonyInfo/CorporateInfo/History/SonyHistory/( 2023年12月26日最終取得)

この資料群・作家の収蔵品一覧[全2件]

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