(資料群)小林萬吾旧蔵資料

資料群・作家名(ヨミ)コバヤシマンゴキュウゾウシリョウ

略歴・解説

 本資料群は古書店からの購入により収蔵した香川県ゆかりの洋画家・小林萬吾旧蔵の絵葉書および写真アルバムである。
 小林萬吾(1868~1947)は、明治時代中葉から第二次世界大戦終戦直後まで白馬会や光風会、文展・帝展・日展といった官展などの中央画壇で活躍し、公には東京美術学校教授、帝国芸術院会員(現東京藝術大学教授、日本芸術院会員)等の経歴を遺した。
 萬吾は慶応4年(1868)に讃岐国三野郡詫間村(現香川県三豊市詫間町)に生まれ、明治21年(1888)に上京し、日本洋画の新旧の巨匠、原田直次郎(1863~1899)、後に黒田清輝(1866~1924)に学んだ。明治44年から大正3年(1914)にかけて文部省留学生としてヨーロッパに留学し、帰国後は西洋の模倣を離れた油彩画の日本的表現を追究した。まさに日本洋画の黎明から成熟へ向かう歴史とともに歩んだ人物である。
 本資料は萬吾に関する絵葉書95葉、および写真7枚と1冊のアルバムに貼付された写真57枚からなる。葉書はヨーロッパ内でのやりとりの他、ヨーロッパから日本に宛てたものである。1907年から1928年までの第一次世界大戦前後の明治・大正から昭和時代初期に通信されたもので、萬吾の滞欧期の葉書も多く含む。葉書からは、萬吾の交友関係を知ることができ、滞欧期の幅広い交流やフランス国内での萬吾の足跡をも知ることができる。なお、本目録の「報告書番号」は、参考文献の「絵葉書紹介」に掲載した「(1)絵葉書一覧表」と対応している。
 写真の撮影時期は明治時代中後期から昭和時代の戦中期に及ぶ。萬吾の上京後から教授時代までの美術家人生を網羅する写真群である。東京美術学校西洋画科草創期の学生時代と考えられる写真、東京美術学校教員時代の教室での学生との集合写真、東京美術学校教授陣との集合写真、第二次世界大戦前の美術団体展など、近代日本美術史の一面を垣間見る写真群である。黒田清輝、和田英作、藤島武二、岡田三郎助など近代日本洋画創成期を代表する画家や、猪熊弦一郎など香川県出身画家や後に名を馳せる東京美術学校の学生
の姿を見出すことができる。
 本資料群は、遺族への聞き取りにより、小林萬吾旧蔵の資料であることが確認されている。小林萬吾の研究ばかりでなく、日本近代美術の足跡の一片を明確にしえる貴重な資料である。
【参考文献】
窪美酉嘉子・芳地智子「小林萬吾旧蔵 小林萬吾宛絵葉書紹介」『ミュージアム調査研究報告』第12号(香川県立ミュージアム、2021年)

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