(資料群)佐々木A家 資料

資料群・作家名(ヨミ)ささきAけしりょう

略歴・解説

佐々木家は、もと大和屋と号した豪商で、高松藩御用商人をつとめた家である。明治初頭には、博文社の設立に関わるなど高松における自由民権運動の旗手として活躍した佐々木清三を輩出している。本資料は、同家に伝来したアイヌ図と、近年における同家の墓地移転に伴い見出された鞘形木製品の2点からなる。アイヌ図は、高松藩家老であつた木村黙老(1774~1856)が描き、藩儒の山田鹿庭(1756~1836)が賛を寄せた作品で、賛の年記から文政8年(1825)に制作されたものと知れる。黙老は、坂出塩田の開発や砂糖の専売などを進めて藩財政の立て直しに尽力したほか、国史編纂のため孝信閣の設立に関与し、自らも学問・詩画を好んで多くの著作等を残している。本図には、蝦夷錦をまとって鍬先を持つアイヌの酋長風の老人と、花を手にした女性の姿が描かれており、黙老の落款には蝦夷地探検等で知られる近藤重蔵の図を模したと記されている。元図については今後の調査研究を要するが、アイヌに対する当時の関心の盛上りを背景に、幅広い情報収集に裏付けられた黙老の文化活動を物語る作品といえよう。鞘形木製品は形状から鞘を思わせるが、刀身はなく切れ日のない一材からなる。現状では、素地の表面に花・霊芝のほか「象道人刀」などの文字が刻まれている。副葬品ということ以外、用途については不明である。
(香川県教育委員会『歴史博物館整備に伴う収蔵資料目録 平成9年度』より、一部修正し転載)

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