略歴・解説 | 東植田村(現高松市)の久保森太に関わる資料であり、年代は明治20~30年代のものに限られている。久保森太は明治23年(1890)4月18日から同27年12月7日まで東植田村の初代村長を務め、明治23年から大正3年(1914)の間に5回にわたって村会議員当選を果たした人物である(「東植田村史」)。132の事務引継書は東植田村外一ケ村戸長山田正徳から久保に宛てられたもので、市制町村制の施行に伴い、村政が戸長役場から村役場へ引き継がれたことを示すものである。当資料には各種の議案・議事録・決議報告が含まれており、久保が村長以外に坂ノ上村外8ケ村学校組合、庵治村外11ヶ村学校組合の組合議員や木田郡郡会議員を務めていたことがわかる。久保家の経営に関わる資料も含まれている。そのほとんどは山下という人物から入谷という人物に宛てられたもので、内容は地租や村税納入のための金銭付与依頼とそれを納めたことを証明する領収書を送付するというものである。また入谷から久保へ宛てたものもあり、檀紙村納金不足分の請求や(38)、檀紙村内蔵米売却(65)について報告している。山下が入谷に久保への取次を依頼したものもあることから(40)、入谷が檀紙村内の久保家の所有地管理に関わる重要な地位にあったと考えられる。なお目録では紙幅の関係もあり、作成者・宛名の肩書き、資料の一括状態などは適宜省略したところもある。
(香川県教育委員会『歴史博物館整備に伴う収蔵資料目録 平成7年度』より、一部修正し転載) |