略歴・解説 | 当資料群は、寄贈者の両親・妻が使用した生活資料が大部分を占めている。寄贈者は、昭和4年(1929)生まれで、両親ともに香川県の出身であるが(父は三木町池戸、母は高松市古高松町)、当時は氏の父が逓信省の機関に勤めており、大阪に住んでいた。昭和19年に氏の父が亡くなられたため、氏の母とともに香川に引っ越してきた。その後、昭和25年に香川県庁に入庁、同35年結婚した。
目録は、大きく生活資料と記録資料に分類している。
生活資料の中には、戦時下の生活を物語る資料がある。当時、軍事用に当てるために、さまざまな物資の消費が制限され、多くの代用品が生み出された。32~35の陶製ボタンもその一種で、金属ボタンの代用品である。ほかにも戦勝記念メダル(38)や軍用機献納のバッチ(39)などがある。
また衣類が多く含まれていることも特徴として挙げられる。114~122は、氏の父のもので、大阪で仕立てたものである。生地も仕立てもよく、亡くなられた後も大切に手入れされていた。和服はほとんどが氏の母のもので、平成3年に亡くなられるまで、ほとんど和服ですごされたようである。90は、昭和13年生まれの氏の配偶者が着た宮参りの着物で、父親の実家から贈られたものである。
昭和30年代の氏ご夫妻の洋服もある。77は、結婚する前年に作った氏の配偶者のスーツであるが、襟の形・袖丈などは、当時流行していた形であるという。2人が新婚旅行に着ていったスーツ(94・95・102)、靴(124)、カバン(70)などからも当時のファッションがうかがえる。
そのほか戦後のもので、洗濯しやすく、丈夫な紳士用の洋服の布地で作った氏の母の上着(136)や、結婚後も仕事を続けていた氏の配偶者の帰宅後の普段着で、着脱が簡単に作られているもの(135)など、戦後、機能性を考慮した和服もあり、その時代の生活を感じさせるものがある。
洋服以外にも、子供におみやげとして買ったおもちゃ(80)、氏が趣味としていたカメラなど昭和20~30年代の生活を物語る資料が数多く含まれている。
記録資料は、絵葉書と雑誌からなる。
絵葉書の中には、152・172など戦前のものと思われる県内の写真絵葉書も含まれている。140は、昭和5年高松市が市制40周年を記念して制作した『高松小唄』を絵葉書にしたものである。楽譜が付いているものと、1~7番までの歌詞が印刷されたものと計8枚がそろっており、貴重なものといえる。また、戦時下において愛国心や戦意を高める目的で発行されたと思われるものもある。(167~171)
雑誌は、氏の配偶者が購読していた婦人雑誌の付録である。昭和30~40年代に流行した服装がわかるものや、家電製品が普及したことを反映して、新しい調理方法や献立を掲載したものがある。
(香川県歴史博物館『収蔵資料目録 平成10年度』より、一部修正し転載) |