略歴・解説 | 本資料は、新田A家資料・新田B家資料とともに寄贈された。主に戦後、詫間町(現三豊市詫間町)生里の新田氏の家庭で使用されていた生活資料である。資料1・2は戦前・戦後に使用された、炭を主な熱源とするコテ2種である。1は主に着物を仕立てる際に、細部の形を整えるために使われたもので、炭火(練炭)の上で熱して、あて布をあてて用いた。電気アイロンが普及する以前に用いられていたものである。資料2は整髪用に用いられたもので、鋏状の先端部を火であぶって、髪を挟んで巻き付けることで髪にウエーブをつけた。ウエーブを取り入れた軽量かつ、活動的な髪形は、大正初期から流行し、女性の社会進出を象徴したといわれる。昭和初期にはアメリカより電気を用いる機械が輸入され、美容院でパーマネントを施す女性も増えたという。しかし、簡単に髪形を整える道具としてこうしたコテもよく用いられていた。資料3のような電気コタツや、新田A家資料2の豆炭あんかと合わせ、人々の生活の熱源が炭のような固形燃料から、後始末が不要で簡便な液体、気体、電気へと急速に移り変っていった変遷を物語る資料である。
(香川県教育委員会『歴史博物館整備に伴う収蔵資料目録 平成9年度』より、一部修正し転載) |