略歴・解説 | 1~8は、遠山氏の父方の叔父が、陸軍士官学校の予科で使用されていた教科書類である。陸軍士官学校は、陸軍の現役将校を養成するための教育を行う学校で、明治7年(1874)陸軍士官学校条例により陸軍兵学寮から独立し、設置された。予科は、年少時からの将校教育を目的とされた陸軍幼年学校のうち陸軍中央幼年学校が、大正9年(1920)の学校組織改正に伴って陸軍士官学校予科とされたものである。予科では、1~8に見られるような科目のほかに、外国語・歴史・数学・物理・化学など当時の高等学校高等科と同様の科目や教練・陣中勤務・射撃・訓話などの教育が行われた。遠山氏の父は熊本市の出身で、のち愛媛県西条市に移り、昭和30年頃から高松に住まわれていた。叔父も熊本市で生まれ、その後は主に東京で生活されていたようである。士官学校卒業や入隊の年代等について詳細は不明であるが、昭和17年頃、教科書類など自分の身の回りにあったものを、西条市の兄の家に残して満州に渡られた。終戦直前に帰国されたそうであるが、満州に渡る前に置いていかれたものは、その後も兄の家で大切に保管され、遠山氏に引き継がれた。11~13は、戦後の早い時期に創刊された文芸誌の創刊号である。当時西条市に住んでいた関係から、いずれも東予地域で発行されたものである。
(香川県教育委員会『歴史博物館整備に伴う収蔵資料目録 平成9年度』より、一部修正し転載) |