略歴・解説 | 田所氏より寄贈いただいた資料の内、資料6から16は戦中に発行、交付された国債、貯金証書類である。昭和12年7月の日中戦争の勃発にともない、これを遂行するために同年9月に定められた臨時資金調整法は、貿易・金融の統制による軍需産業の育成・拡大を主目的として制定された法律である。この法律に浮動購買力の吸収策として貯蓄債権や報国債券の発行も規定されていた。こうした政策を後押しするように、昭和12年8月から政府主導で始められた国民精神総動員運動は12月から愛国公債購入運動・貯蓄報国運動などの経済国策協力運動を実施するようになった。日本勧業銀行による割増金附報国債券の販売は昭和15年の5月から始まっている。こうして盛んに購入が奨励された国債であるが、昭和20年の敗戦とその後の急激なインフレーションの進行はその価値を限りなく「紙くず同然」にまで低下させてしまった。また、資料22及び、資料23は昭和34年の「皇太子御成婚」と昭和45年の大阪での万国博覧会開催という戦後、多くの人々の記憶に深く刻まれた出来事に関わる資料である。
(香川県教育委員会『歴史博物館整備に伴う収蔵資料目録 平成9年度』より、一部修正し転載) |