【解説】太平記 巻一、三~九、十一~十二、十四~二十九、三十七(巻一前半欠あり、巻二十一は2冊あり) 天正7(1579)年写

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中分類軍記物語関係
小分類太平記 巻一、三~九、十一~十二、十四~二十九、三
分野分類 CB歴史学
文化財分類 CB図書
資料形式 CBテキストデータベース
+解説太平記  [貴2648-2675]

〈外題〉「太平記」(左肩後補雲紙題簽)
〈内題〉「太平記」
〈巻冊〉28冊(存巻一・三~九・十一・十二・十四~二十九・三十七。巻二十一は二冊ある。)
〈体裁〉袋綴(四つ目綴)
〈書写年代〉天正7年(1579)
〈表紙寸法〉縦27.0糎×横19.8糎
〈書入・貼紙〉書入あり(朱墨二種)
〈奥書〉「以口羽通良本藤兼被成/御写候其御本申請/書写畢/天正七年卯己仲春吉日兼治」(「仲春」の箇所は、巻六~九・十一・十七~二十三「仲夏」、巻十四~十六「上夏」、巻二十四・二十六~二十九「初夏」とする)
〈蔵書印〉なし
〈解題〉

奥書によれば、本書は口羽通良本を転写した益田藤兼本を親本として、益田兼治が天正7年(1579年)に書写したものである。益田兼治は石見国美濃郡益田荘を支配していた豪族で、戦国末期の益田氏は毛利家に仕えていた。藤兼と兼治は従兄弟関係にあたる。口羽通良は毛利家の重臣のひとりで、毛利元就次男の吉川元春を補佐した人物である。毛利家周辺に伝来していた『太平記』は、本書の他に毛利家本(彰考館蔵)や吉川家本(吉川資料館蔵)が現存している。

本書は、二十七巻二十八冊が現存しているが、そのうち巻一・二十一別冊・巻三十七は、他巻と体裁や筆跡が異なる。この三冊の本文は、毛利家本(乙類本)に近い。しかし、現存の毛利家本とは異同があることから、現存の毛利家本を親本として転写したものではないことがわかる。

他の二十五巻の本文は、吉川家本(乙類本)に近い。小秋元段氏は、吉川家本と口羽本とは共通の親本から分かれたものであると推定され、本書は口羽本の孫本にあたると指摘されている。

〈参考〉

・長谷川端「新出太平記二種覚書-日置孤白軒書写本と益田兼治書写本と-」(『芸文研究』55 1989年3月 『太平記 創造と成長』三弥井書店 2003年 再録)

・小秋元段「益田兼治書写本『太平記』について」(『徳江元正退職記念 鎌倉室町文学論纂』三弥井書店 2002年)

・長坂成行『伝存太平記写本総覧』(和泉書院 2008年)
+登録番号(図書館資料ID)貴2648-2675
資料ID143785
所有者(所蔵者)國學院大學図書館
-143784 37 2020/11/18 r.teshina 【解説】太平記 巻一、三~九、十一~十二、十四~二十九、三十七(巻一前半欠あり、巻二十一は2冊あり) 天正7(1579)年写 【解説】太平記 巻一、三~九、十一~十二、十四~二十九、三十七(巻一前半欠あり、巻二十一は2冊あり) 天正7(1579)年写 貴2648-2675 11 008 太平記  [貴2648-2675]

〈外題〉「太平記」(左肩後補雲紙題簽)
〈内題〉「太平記」
〈巻冊〉28冊(存巻一・三~九・十一・十二・十四~二十九・三十七。巻二十一は二冊ある。)
〈体裁〉袋綴(四つ目綴)
〈書写年代〉天正7年(1579)
〈表紙寸法〉縦27.0糎×横19.8糎
〈書入・貼紙〉書入あり(朱墨二種)
〈奥書〉「以口羽通良本藤兼被成/御写候其御本申請/書写畢/天正七年卯己仲春吉日兼治」(「仲春」の箇所は、巻六~九・十一・十七~二十三「仲夏」、巻十四~十六「上夏」、巻二十四・二十六~二十九「初夏」とする)
〈蔵書印〉なし
〈解題〉

奥書によれば、本書は口羽通良本を転写した益田藤兼本を親本として、益田兼治が天正7年(1579年)に書写したものである。益田兼治は石見国美濃郡益田荘を支配していた豪族で、戦国末期の益田氏は毛利家に仕えていた。藤兼と兼治は従兄弟関係にあたる。口羽通良は毛利家の重臣のひとりで、毛利元就次男の吉川元春を補佐した人物である。毛利家周辺に伝来していた『太平記』は、本書の他に毛利家本(彰考館蔵)や吉川家本(吉川資料館蔵)が現存している。

本書は、二十七巻二十八冊が現存しているが、そのうち巻一・二十一別冊・巻三十七は、他巻と体裁や筆跡が異なる。この三冊の本文は、毛利家本(乙類本)に近い。しかし、現存の毛利家本とは異同があることから、現存の毛利家本を親本として転写したものではないことがわかる。

他の二十五巻の本文は、吉川家本(乙類本)に近い。小秋元段氏は、吉川家本と口羽本とは共通の親本から分かれたものであると推定され、本書は口羽本の孫本にあたると指摘されている。

〈参考〉

・長谷川端「新出太平記二種覚書-日置孤白軒書写本と益田兼治書写本と-」(『芸文研究』55 1989年3月 『太平記 創造と成長』三弥井書店 2003年 再録)

・小秋元段「益田兼治書写本『太平記』について」(『徳江元正退職記念 鎌倉室町文学論纂』三弥井書店 2002年)

・長坂成行『伝存太平記写本総覧』(和泉書院 2008年) 1

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