【解説】義経記 巻一~巻八 室町時代末期写

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分野分類 CB歴史学
文化財分類 CB図書
資料形式 CBテキストデータベース
+解説義経物語  [貴1925-1932]

〈外題〉「よしつね物語 一(~八)」(表紙中央原装題簽。巻二は題簽剥落、表紙中央打付墨書)
〈内題〉「義経物語巻第 一(~巻第八)」
〈巻冊〉8巻8冊
〈体裁〉袋綴(四つ目綴)
〈書写年代〉室町時代末期
〈表紙寸法〉縦27.6糎×横21.6糎
〈書入・貼紙〉ミセケチ、傍書、本文注記あり
〈奥書〉「横山家蔵」、「アカギ」、「月明荘」
〈解題〉

横山重旧蔵本。『義経記』の一異本。本書の来歴について山岸徳平氏は、もとは佐賀市近辺の寺にあったもので、後に野村宗朔氏が寄贈を受けて所蔵していたと紹介されている。その後、高木武氏、横山重氏を経て、本学図書館の所蔵に至る。

表紙は雲紙で、原装と判断される。料紙は本文、見返しともに楮紙を用いている。本文中にミセケチや傍書、本文注記などの書入がある。書入は書写者を含めて少なくとも三種はあると見られる。巻第八の末尾2、3丁と裏表紙に破損があり、一部判読出来ない箇所がある。

『義経記』の諸本は、流布本、判官物語、義経物語の三つに分類され、そのうち最も古態を残しているとされる判官物語の系統は、さらに第一系列、第二系列に分けられる。本書の本文について村上學氏は、「巻第一、二、巻第七、八は判官物語第二系列を基にし」、「巻第三、四、五、六は判官物語第一系列の本文展開上最も初期に属する本文を比較的忠実に継承」していると指摘する。巻第一、二、七、八には、幸若舞曲の詞章と近似する本文が見られる。巻第八には、討ち取られた義経の首が一巻の恨み状を口にくわえていたという、幸若舞曲『含状』の影響を受けた独自記事がある。本書と同系統の伝本は、他に龍門文庫に巻一のみの零本が現存する。

〈翻刻〉

・角川源義 村上學編『貴重古典籍叢刊10 赤木文庫本義経物語』(角川書店 1974年)

〈参考〉

・山岸徳平「芳野本義経記解題」 (『静嘉堂文庫蔵芳野本義経記』古典研究会 1965年)

・佐藤陸「義経記の一考察」 (『軍記物とその周辺』早稲田大学出版部 1969年)

・村上學「義経記諸本の位置づけ」(『貴重古典籍叢刊19 赤木文庫本義経物語』角川書店 1974年)

・『弘文荘敬愛書図録』 (弘文荘 1982年)

・『國學院大學図書館貴重書解題目録(一)』(國學院大學図書館 1991年)
+登録番号(図書館資料ID)貴1925-1932
資料ID143697
所有者(所蔵者)國學院大學図書館
-143696 37 2020/11/18 r.teshina 【解説】義経記 巻一~巻八 室町時代末期写 【解説】義経記 巻一~巻八 室町時代末期写 貴1925-1932 11 001 義経物語  [貴1925-1932]

〈外題〉「よしつね物語 一(~八)」(表紙中央原装題簽。巻二は題簽剥落、表紙中央打付墨書)
〈内題〉「義経物語巻第 一(~巻第八)」
〈巻冊〉8巻8冊
〈体裁〉袋綴(四つ目綴)
〈書写年代〉室町時代末期
〈表紙寸法〉縦27.6糎×横21.6糎
〈書入・貼紙〉ミセケチ、傍書、本文注記あり
〈奥書〉「横山家蔵」、「アカギ」、「月明荘」
〈解題〉

横山重旧蔵本。『義経記』の一異本。本書の来歴について山岸徳平氏は、もとは佐賀市近辺の寺にあったもので、後に野村宗朔氏が寄贈を受けて所蔵していたと紹介されている。その後、高木武氏、横山重氏を経て、本学図書館の所蔵に至る。

表紙は雲紙で、原装と判断される。料紙は本文、見返しともに楮紙を用いている。本文中にミセケチや傍書、本文注記などの書入がある。書入は書写者を含めて少なくとも三種はあると見られる。巻第八の末尾2、3丁と裏表紙に破損があり、一部判読出来ない箇所がある。

『義経記』の諸本は、流布本、判官物語、義経物語の三つに分類され、そのうち最も古態を残しているとされる判官物語の系統は、さらに第一系列、第二系列に分けられる。本書の本文について村上學氏は、「巻第一、二、巻第七、八は判官物語第二系列を基にし」、「巻第三、四、五、六は判官物語第一系列の本文展開上最も初期に属する本文を比較的忠実に継承」していると指摘する。巻第一、二、七、八には、幸若舞曲の詞章と近似する本文が見られる。巻第八には、討ち取られた義経の首が一巻の恨み状を口にくわえていたという、幸若舞曲『含状』の影響を受けた独自記事がある。本書と同系統の伝本は、他に龍門文庫に巻一のみの零本が現存する。

〈翻刻〉

・角川源義 村上學編『貴重古典籍叢刊10 赤木文庫本義経物語』(角川書店 1974年)

〈参考〉

・山岸徳平「芳野本義経記解題」 (『静嘉堂文庫蔵芳野本義経記』古典研究会 1965年)

・佐藤陸「義経記の一考察」 (『軍記物とその周辺』早稲田大学出版部 1969年)

・村上學「義経記諸本の位置づけ」(『貴重古典籍叢刊19 赤木文庫本義経物語』角川書店 1974年)

・『弘文荘敬愛書図録』 (弘文荘 1982年)

・『國學院大學図書館貴重書解題目録(一)』(國學院大學図書館 1991年) 1

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