【解説】平家物語 巻一~巻十二 古活字版 寛永5(1628)年刊 城一本

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小分類平家物語 巻一~巻十二 古活字版 寛永5(1628
分野分類 CB歴史学
文化財分類 CB図書
資料形式 CBテキストデータベース
+解説平家物語 城一本  [貴1958-1969]

〈外題〉「平家物語 一(~十二)」(左肩原装単辺題簽)
〈内題〉「平家物語巻第一(~十二)」
〈巻冊〉12巻12冊
〈体裁〉袋綴(四つ目綴)
〈刊年〉寛永5年(1628)
〈表紙寸法〉縦28.1糎×横19.8糎
〈書入・貼紙〉巻四第2丁表に貼紙訂正あり
〈刊記〉巻一・十二の末尾に整版の刊記あり(巻一は前半のみ)
「寛永三年の春の比、藤田検校/城慶加賀国にて筑紫方検校城一/用ゆ雲井の本と奥書侍る平家/物語を求侍き、此本則其雲井の/本を写畢筑紫方検校城一本と奥/書侍る故に藤田検校城慶此本を/用て八坂方の平家と号す/于時寛永五戊辰暦 九月上旬/洛陽三條寺町 中村甚兵衛尉開之」
〈蔵書印〉「方南堂蔵」
〈解題〉

平家物語語り本系諸本の一。山下宏明氏の分類では、八坂系第五類に分類される。刊記により「城一本」と呼ばれる。本文は、漢字平仮名交じり、十二行古活字版で、濁点を付す。『弘文荘善本目録』(1977年)の解説には「九州佐伯毛利家旧蔵」とある。同類本で現在所在の明らかなものは、東京芸術大学蔵の巻十二の零本のみである。

刊記に見える「筑紫方検校城一」とは、『当道要集』によれば、琵琶法師の始祖性仏の孫弟子に当たる琵琶法師のことであるが、城一本の本文を見る限り、「城一用ゆ雲井の本」というのは全くの仮託であろうと思われる。また「藤田検校城慶」とは、近世初期に活躍した八坂流大山派の琵琶法師で、『三代関』や三浦浄心の『慶長見聞集』にその名が見える。こちらは、時代的にも本書の上梓に何らかの関係があるものと見て間違いないだろう。

本書の最大の形態的特徴は、八坂系に分類されている諸本が巻十一・十二に分散して置いている建礼門院関係記事(覚一本の灌頂巻に相当する記事)を巻十二の途中に集結し、それを「平家物語くはんぢやう巻」と号している点である。この形態を、灌頂巻特立の前段階と見る説も以前はあったが、現在では後次的な混態現象であることが明らかにされている。

〈参考〉

・山下宏明『平家物語研究序説』 (明治書院 1972年)

・千明守「國學院大學図書館蔵『城一本平家物語』の紹介」 (『國學院大學図書館紀要』7 1995年3月)
+登録番号(図書館資料ID)貴1958-1969
資料ID143576
所有者(所蔵者)國學院大學図書館
-143575 37 2020/11/18 r.teshina 【解説】平家物語 巻一~巻十二 古活字版 寛永5(1628)年刊 城一本 【解説】平家物語 巻一~巻十二 古活字版 寛永5(1628)年刊 城一本 貴1958-1969 10 004 平家物語 城一本  [貴1958-1969]

〈外題〉「平家物語 一(~十二)」(左肩原装単辺題簽)
〈内題〉「平家物語巻第一(~十二)」
〈巻冊〉12巻12冊
〈体裁〉袋綴(四つ目綴)
〈刊年〉寛永5年(1628)
〈表紙寸法〉縦28.1糎×横19.8糎
〈書入・貼紙〉巻四第2丁表に貼紙訂正あり
〈刊記〉巻一・十二の末尾に整版の刊記あり(巻一は前半のみ)
「寛永三年の春の比、藤田検校/城慶加賀国にて筑紫方検校城一/用ゆ雲井の本と奥書侍る平家/物語を求侍き、此本則其雲井の/本を写畢筑紫方検校城一本と奥/書侍る故に藤田検校城慶此本を/用て八坂方の平家と号す/于時寛永五戊辰暦 九月上旬/洛陽三條寺町 中村甚兵衛尉開之」
〈蔵書印〉「方南堂蔵」
〈解題〉

平家物語語り本系諸本の一。山下宏明氏の分類では、八坂系第五類に分類される。刊記により「城一本」と呼ばれる。本文は、漢字平仮名交じり、十二行古活字版で、濁点を付す。『弘文荘善本目録』(1977年)の解説には「九州佐伯毛利家旧蔵」とある。同類本で現在所在の明らかなものは、東京芸術大学蔵の巻十二の零本のみである。

刊記に見える「筑紫方検校城一」とは、『当道要集』によれば、琵琶法師の始祖性仏の孫弟子に当たる琵琶法師のことであるが、城一本の本文を見る限り、「城一用ゆ雲井の本」というのは全くの仮託であろうと思われる。また「藤田検校城慶」とは、近世初期に活躍した八坂流大山派の琵琶法師で、『三代関』や三浦浄心の『慶長見聞集』にその名が見える。こちらは、時代的にも本書の上梓に何らかの関係があるものと見て間違いないだろう。

本書の最大の形態的特徴は、八坂系に分類されている諸本が巻十一・十二に分散して置いている建礼門院関係記事(覚一本の灌頂巻に相当する記事)を巻十二の途中に集結し、それを「平家物語くはんぢやう巻」と号している点である。この形態を、灌頂巻特立の前段階と見る説も以前はあったが、現在では後次的な混態現象であることが明らかにされている。

〈参考〉

・山下宏明『平家物語研究序説』 (明治書院 1972年)

・千明守「國學院大學図書館蔵『城一本平家物語』の紹介」 (『國學院大學図書館紀要』7 1995年3月) 1

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