【解説】萬葉集註釈 巻一~巻十 仙覚著 室町時代末期写

大分類図書館デジタルライブラリー
中分類上代文学関係
小分類萬葉集註釈 巻一~巻十 仙覚著 室町時代末期写
分野分類 CB歴史学
文化財分類 CB図書
資料形式 CBテキストデータベース
+解説萬葉集註釈  [貴1839-1848]

〈外題〉「萬葉集註釋第一(~十)」(左肩後補題簽)
〈内題〉「萬葉集註釋第一(~十)」
〈巻冊〉10巻10冊
〈体裁〉袋綴(四つ目綴)
〈書写年代〉室町時代末期
〈表紙寸法〉縦28.8糎×横20.3糎
〈書入・貼紙〉貼紙あり。朱で合点、句読点、頭注、朱引あり。
〈奥書〉巻三を除き仙覚・玄覚の奥書あり。
巻一の奥書、
文永六年二月廿四日記之訖  仙覚在判
建治元年十一月上旬比以作者仙覚律師自筆本数人抄写畢而後日校合所略等悉可書入之同廿八日書入畢同二十九日一校畢同二年六月五日以抄写本書入畢同六日一校畢
玄覚在判
弘安三年庚立春正月癸卯朔庚戌以本集一見畢管見之所及押帋注之 権律師玄覚
巻三は「仙覚」とのみ記す。
巻十には、仙覚、玄覚の奥書の後に、
此十帖以律師玄覺之本如系圖令相傳又重考分書入之更不可有類本雖為一詞能々可惜須如眼壽不可説々々々
十佛在判
〈蔵書印〉〈蔵書印〉「島原秘蔵」、他に不明の蔵書印あり。
〈解題〉

『萬葉集註釈』全10冊は、文永6年(1269)の2月~4月にかけて仙覚が万葉歌の注釈を記し、その後を受けて弟子筋の玄覚が書き入れを行った書である。最古の写本は、仁和寺蔵(1347年の奥書)の片仮名本で、他に竹柏園旧蔵本(室町末期書写)などがある。江戸期には、平仮名を用いた活版本もあるが、誤りが多いとされる。本書は片仮名本であり、巻頭と巻末に「島原秘蔵」の印がある。仙覚と玄覚の奥書を備え、巻十には、神宮文庫本と同様に十佛による「識語」を載せている。本書は、奥書・跋文を欠いているが、室町末期から江戸初期にかけての書写と考えられており、諸本の校合に耐えうる善本である。

仙覚は、建長5年(1253)に、それまで訓が付されていなかった万葉歌152首に新点を付したことで有名である。この『萬葉集註釈』は、総論の部と、約880首にわたる難歌の解釈の部とがある。当時としては、最も多くの万葉歌に注釈を施したものである。それまで取り上げられることの少なかった、東歌や防人歌にも注釈している点も特徴である。悉曇の音韻学に基づいた訓読もある。また、『日本書紀』・『風土記』・『続日本紀』などを多数引用し、注釈している。特に、『風土記』に関しては、現存しない多数の逸文を載せており、『万葉集』研究だけでなく、古代文献の受容史の中で重要な意味を持つ書である。

〈参考〉

・佐佐木信綱編 万葉集叢書大八輯『仙覚全集』 (古今書院 1926年)

・武田祐吉「万葉集の伝来」 (『増訂万葉集全註釈』1 角川書店 1970年)

・『國學院大學図書館蔵武田祐吉博士旧蔵善本解題』 (角川書店 1985年)

・小川靖彦「国文学研究史料館蔵『萬葉集註釈』紹介と翻刻-仙覚『萬葉集註釈』の本文研究に向けて」(『国文学研究資料館紀要』12 1995年3月)

・多田元「古事記受容史から見た『萬葉集註釋』」(『古事記受容史』 笠間書院 2003年)
+登録番号(図書館資料ID)貴1839-1848*
資料ID143372
所有者(所蔵者)國學院大學図書館
-143371 37 2020/11/18 r.teshina 【解説】萬葉集註釈 巻一~巻十 仙覚著 室町時代末期写 【解説】萬葉集註釈 巻一~巻十 仙覚著 室町時代末期写 貴1839-1848* 08 004 1 萬葉集註釈  [貴1839-1848]

〈外題〉「萬葉集註釋第一(~十)」(左肩後補題簽)
〈内題〉「萬葉集註釋第一(~十)」
〈巻冊〉10巻10冊
〈体裁〉袋綴(四つ目綴)
〈書写年代〉室町時代末期
〈表紙寸法〉縦28.8糎×横20.3糎
〈書入・貼紙〉貼紙あり。朱で合点、句読点、頭注、朱引あり。
〈奥書〉巻三を除き仙覚・玄覚の奥書あり。
巻一の奥書、
文永六年二月廿四日記之訖  仙覚在判
建治元年十一月上旬比以作者仙覚律師自筆本数人抄写畢而後日校合所略等悉可書入之同廿八日書入畢同二十九日一校畢同二年六月五日以抄写本書入畢同六日一校畢
玄覚在判
弘安三年庚立春正月癸卯朔庚戌以本集一見畢管見之所及押帋注之 権律師玄覚
巻三は「仙覚」とのみ記す。
巻十には、仙覚、玄覚の奥書の後に、
此十帖以律師玄覺之本如系圖令相傳又重考分書入之更不可有類本雖為一詞能々可惜須如眼壽不可説々々々
十佛在判
〈蔵書印〉〈蔵書印〉「島原秘蔵」、他に不明の蔵書印あり。
〈解題〉

『萬葉集註釈』全10冊は、文永6年(1269)の2月~4月にかけて仙覚が万葉歌の注釈を記し、その後を受けて弟子筋の玄覚が書き入れを行った書である。最古の写本は、仁和寺蔵(1347年の奥書)の片仮名本で、他に竹柏園旧蔵本(室町末期書写)などがある。江戸期には、平仮名を用いた活版本もあるが、誤りが多いとされる。本書は片仮名本であり、巻頭と巻末に「島原秘蔵」の印がある。仙覚と玄覚の奥書を備え、巻十には、神宮文庫本と同様に十佛による「識語」を載せている。本書は、奥書・跋文を欠いているが、室町末期から江戸初期にかけての書写と考えられており、諸本の校合に耐えうる善本である。

仙覚は、建長5年(1253)に、それまで訓が付されていなかった万葉歌152首に新点を付したことで有名である。この『萬葉集註釈』は、総論の部と、約880首にわたる難歌の解釈の部とがある。当時としては、最も多くの万葉歌に注釈を施したものである。それまで取り上げられることの少なかった、東歌や防人歌にも注釈している点も特徴である。悉曇の音韻学に基づいた訓読もある。また、『日本書紀』・『風土記』・『続日本紀』などを多数引用し、注釈している。特に、『風土記』に関しては、現存しない多数の逸文を載せており、『万葉集』研究だけでなく、古代文献の受容史の中で重要な意味を持つ書である。

〈参考〉

・佐佐木信綱編 万葉集叢書大八輯『仙覚全集』 (古今書院 1926年)

・武田祐吉「万葉集の伝来」 (『増訂万葉集全註釈』1 角川書店 1970年)

・『國學院大學図書館蔵武田祐吉博士旧蔵善本解題』 (角川書店 1985年)

・小川靖彦「国文学研究史料館蔵『萬葉集註釈』紹介と翻刻-仙覚『萬葉集註釈』の本文研究に向けて」(『国文学研究資料館紀要』12 1995年3月)

・多田元「古事記受容史から見た『萬葉集註釋』」(『古事記受容史』 笠間書院 2003年) 1

この資料に関連する資料

PageTop