【解説】和歌浦御祭礼御渡絵巻

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文化財分類 CB図書
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+解説和歌御祭礼御絵図 上 [貴2796]

〈外題〉和歌御祭礼御絵図 上
〈内題〉なし
〈巻冊〉1巻1軸
〈体裁〉巻子装
〈書写年代〉江戸時代中後期
〈寸法〉縦 29.0糎
〈奥書〉ナシ
〈解題〉

紀州東照宮(和歌山県和歌山市)の祭礼(和歌祭)を描いた絵巻。この祭礼は、現在は5月に行われているが、かつては祭神である徳川家康(東照大権現)が没した4月(旧暦)に行われていた。

和歌祭では、御旅所まで神輿が渡御し、それに風流を凝らした練り物が従った。

本絵巻は、冒頭に御旅所と同鳥居前での奉納相撲の様子を描き、続いて行列を描く。上下巻のうちの上巻のみ、本館は所有する。勝川春英の筆とするが、筆者は不明である。その図様は『紀州和歌御祭礼絵巻』(『特別展 和歌祭−祭を支えた人々、祭に込めた思い−』和歌山県立博物館、2006年、39頁)、『和歌御祭礼御絵図』(同、41頁)の上巻と共通点が多く、同系統に位置づけられる。

本絵巻の付属の文書には、防府の毛利家旧蔵であり、第二次世界大戦後にオーストラリアのメルボルンの人物に売却されていることが記されている。『和歌御祭礼御絵図』(下巻)(同40頁)の付属文書にも防府の毛利家旧蔵であること、勝川春英の作であること、上巻はメルボルンへ流出したことなどが記されているといい、本絵巻と対になるものと推定できる(同83頁)。

行列には、棒振、獅子、田楽、御旗鉾、神子、赤母衣、雑賀踊、唐船、山伏、汐汲み、鷹匠、餅つき踊、唐人、順礼踊、釜ほりなどが描かれている。この構成から、寛文五年(1665)に同祭礼の規模が縮小される前の様子を描いたものといえる。しかし、その風俗は江戸時代中期以降のものである。よって、寛文5年以前の祭礼図をもとにしながら、描き写す際に、その風俗を江戸時代中期以降のものに改変したものといえる。この点も、先述の『和歌御祭礼御絵図』や『和歌御祭礼御絵図』下と同様である。

〈参考〉

・『特別展 和歌祭−祭を支えた人々、祭に込めた思い−』(和歌山県立博物館、2006年)

・米田頼司『和歌祭 風流の祭典の社会誌』(帯伊書店、2010年)

・『みる・きく・たのしむ 和歌祭 増補・改訂版』(和歌山大学紀州経済史文化史研究所、2012年)
+登録番号(図書館資料ID)貴2796
資料ID143230
所有者(所蔵者)國學院大學図書館
-祭礼図(テーマ検索)
143229 37 2020/11/18 r.teshina 【解説】和歌浦御祭礼御渡絵巻 【解説】和歌浦御祭礼御渡絵巻 貴2796 02 031 和歌御祭礼御絵図 上 [貴2796]

〈外題〉和歌御祭礼御絵図 上
〈内題〉なし
〈巻冊〉1巻1軸
〈体裁〉巻子装
〈書写年代〉江戸時代中後期
〈寸法〉縦 29.0糎
〈奥書〉ナシ
〈解題〉

紀州東照宮(和歌山県和歌山市)の祭礼(和歌祭)を描いた絵巻。この祭礼は、現在は5月に行われているが、かつては祭神である徳川家康(東照大権現)が没した4月(旧暦)に行われていた。

和歌祭では、御旅所まで神輿が渡御し、それに風流を凝らした練り物が従った。

本絵巻は、冒頭に御旅所と同鳥居前での奉納相撲の様子を描き、続いて行列を描く。上下巻のうちの上巻のみ、本館は所有する。勝川春英の筆とするが、筆者は不明である。その図様は『紀州和歌御祭礼絵巻』(『特別展 和歌祭−祭を支えた人々、祭に込めた思い−』和歌山県立博物館、2006年、39頁)、『和歌御祭礼御絵図』(同、41頁)の上巻と共通点が多く、同系統に位置づけられる。

本絵巻の付属の文書には、防府の毛利家旧蔵であり、第二次世界大戦後にオーストラリアのメルボルンの人物に売却されていることが記されている。『和歌御祭礼御絵図』(下巻)(同40頁)の付属文書にも防府の毛利家旧蔵であること、勝川春英の作であること、上巻はメルボルンへ流出したことなどが記されているといい、本絵巻と対になるものと推定できる(同83頁)。

行列には、棒振、獅子、田楽、御旗鉾、神子、赤母衣、雑賀踊、唐船、山伏、汐汲み、鷹匠、餅つき踊、唐人、順礼踊、釜ほりなどが描かれている。この構成から、寛文五年(1665)に同祭礼の規模が縮小される前の様子を描いたものといえる。しかし、その風俗は江戸時代中期以降のものである。よって、寛文5年以前の祭礼図をもとにしながら、描き写す際に、その風俗を江戸時代中期以降のものに改変したものといえる。この点も、先述の『和歌御祭礼御絵図』や『和歌御祭礼御絵図』下と同様である。

〈参考〉

・『特別展 和歌祭−祭を支えた人々、祭に込めた思い−』(和歌山県立博物館、2006年)

・米田頼司『和歌祭 風流の祭典の社会誌』(帯伊書店、2010年)

・『みる・きく・たのしむ 和歌祭 増補・改訂版』(和歌山大学紀州経済史文化史研究所、2012年) 1

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