【解説】平治物語 常盤之巻

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+解説平治物語絵巻常盤巻 [貴1562]

〈外題〉なし(金地題簽あり)
〈内題〉なし
〈巻冊〉1巻1軸
〈体裁〉巻子装
〈書写年代〉江戸時代中期
〈寸法〉縦34.2糎
〈書入・貼紙〉なし
「この一まきは仁和寺/御むろ法守親王の御手/なりゑはとさのなにかし/と也おほよそ 詞なけれは/このことはりきこえかたし/ゑにうつらされはそのあり/さまさたかならすさるによりて/ゑそうしをとり▽▽にひめ/をかせ給ふことはあかしの/中宮むらさ きのうへなと/いまもむかしにおなしかる/へし/寛永九年八月十五日おほき/もの申すつかさふちはら(花押)これを/しるすなり」  * ▽▽=踊り字 〈蔵書印〉極札あり。「昭和十二年十一月四日 井芹/常盤の巻」「三河国擧母(コロモ)旧藩主/子爵 内藤政光蔵/旧蔵ノ倉庫ヨリ取出セシモ/破損甚シキタメ表裝セシモノ也」「平治物語 常盤巻/増補考古畫譜巻廿所蔵/倭錦云、土佐光顕平治物語書継/常盤巻 擧母(コロモ) 内藤家蔵/詞五段 絵七段/寸法高サ 一尺八分 長サ 五十七尺五寸二分/昭和十二年十一月四日」
〈解題〉

『平治物語』をもとに作られた絵巻。『平治物語』後半の、常盤親子の六波羅出頭、経宗・ 惟方による桟敷打付け事件と両人の捕縛、伊豆配流時の頼朝と池禅尼の対面、の場面が描かれている。

平治の乱を題材として作られた絵巻には他に、鎌倉時代に制作され「三条殿夜討巻」(ボストン美術館)、「信西巻」(静嘉堂文庫)、「六波羅行幸巻」(東京国立博物館)の3巻があるが、 本絵巻はこれとは全く異なる系統のものである。「常盤巻」が、成立当初から『平治物語』後半部だけを絵巻化したものなのか、平治の乱全体を描いた物の一部分だけが残った物なのかは不明である。

「常盤巻」の伝本は、『続日本絵巻大成』掲載の個人蔵本、東北大学附属図書館本、麻原美子氏紹介のK家旧蔵本、東京国立博物館蔵本が知られる。このうち続日本絵巻大成本が現存本のうちでは最も古いものであり、本絵巻を含め他の本はいずれも続日本絵巻大成本の模本である。本絵巻は挙母藩主内藤家旧蔵で、その子孫である内藤政光が昭和十二年(1937)に補修をおこなっている。続日本絵巻大成本は、烏丸光弘による寛永九年(1632)の奥書を持つが、本絵巻は同じ奥書を持っているので成立はそれ以上遡りえない。

〈翻刻〉

・千明守「國學院大學図書館蔵『平治物語常磐巻』翻刻・考察」(『平家物語屋代本とその周辺』おうふう 2013年)

〈参考〉

・真保亨「平治物語絵(常磐巻)について」(『美術研究』307  1978年9月)

・日下力「烏丸光広奥書『平治物語絵巻』・東北大学附属図書館蔵模本―翻刻並びに考証―」(『平治物語の成立と展開』汲古書院 1997年)

・麻原美子・山口恵理子「平治物語絵巻『常盤の巻』をめぐって」(『日本女子大学紀要 文学部』30 1981年3月)

・徳江元正「第11回國學院大學図書館蔵本特別展示目録 常磐絵巻」(『日本文学論究』41 1981年11月)

・小松茂美編『前九年合戦絵 平治物語絵巻 結城合戦絵詞』(『続日本絵巻大成』17 中央公論社1983年)

・中澤伸弘, 宮崎和廣編・解説『好古研究資料集成 巻八 黒川真頼編 二』(クレス出版 2011年)
+登録番号(図書館資料ID)貴1562
資料ID143195
所有者(所蔵者)國學院大學図書館
-絵物語(テーマ検索)
143194 37 2020/11/18 r.teshina 【解説】平治物語 常盤之巻 【解説】平治物語 常盤之巻 貴1562 02 018 平治物語絵巻常盤巻 [貴1562]

〈外題〉なし(金地題簽あり)
〈内題〉なし
〈巻冊〉1巻1軸
〈体裁〉巻子装
〈書写年代〉江戸時代中期
〈寸法〉縦34.2糎
〈書入・貼紙〉なし
「この一まきは仁和寺/御むろ法守親王の御手/なりゑはとさのなにかし/と也おほよそ 詞なけれは/このことはりきこえかたし/ゑにうつらされはそのあり/さまさたかならすさるによりて/ゑそうしをとり▽▽にひめ/をかせ給ふことはあかしの/中宮むらさ きのうへなと/いまもむかしにおなしかる/へし/寛永九年八月十五日おほき/もの申すつかさふちはら(花押)これを/しるすなり」  * ▽▽=踊り字 〈蔵書印〉極札あり。「昭和十二年十一月四日 井芹/常盤の巻」「三河国擧母(コロモ)旧藩主/子爵 内藤政光蔵/旧蔵ノ倉庫ヨリ取出セシモ/破損甚シキタメ表裝セシモノ也」「平治物語 常盤巻/増補考古畫譜巻廿所蔵/倭錦云、土佐光顕平治物語書継/常盤巻 擧母(コロモ) 内藤家蔵/詞五段 絵七段/寸法高サ 一尺八分 長サ 五十七尺五寸二分/昭和十二年十一月四日」
〈解題〉

『平治物語』をもとに作られた絵巻。『平治物語』後半の、常盤親子の六波羅出頭、経宗・ 惟方による桟敷打付け事件と両人の捕縛、伊豆配流時の頼朝と池禅尼の対面、の場面が描かれている。

平治の乱を題材として作られた絵巻には他に、鎌倉時代に制作され「三条殿夜討巻」(ボストン美術館)、「信西巻」(静嘉堂文庫)、「六波羅行幸巻」(東京国立博物館)の3巻があるが、 本絵巻はこれとは全く異なる系統のものである。「常盤巻」が、成立当初から『平治物語』後半部だけを絵巻化したものなのか、平治の乱全体を描いた物の一部分だけが残った物なのかは不明である。

「常盤巻」の伝本は、『続日本絵巻大成』掲載の個人蔵本、東北大学附属図書館本、麻原美子氏紹介のK家旧蔵本、東京国立博物館蔵本が知られる。このうち続日本絵巻大成本が現存本のうちでは最も古いものであり、本絵巻を含め他の本はいずれも続日本絵巻大成本の模本である。本絵巻は挙母藩主内藤家旧蔵で、その子孫である内藤政光が昭和十二年(1937)に補修をおこなっている。続日本絵巻大成本は、烏丸光弘による寛永九年(1632)の奥書を持つが、本絵巻は同じ奥書を持っているので成立はそれ以上遡りえない。

〈翻刻〉

・千明守「國學院大學図書館蔵『平治物語常磐巻』翻刻・考察」(『平家物語屋代本とその周辺』おうふう 2013年)

〈参考〉

・真保亨「平治物語絵(常磐巻)について」(『美術研究』307  1978年9月)

・日下力「烏丸光広奥書『平治物語絵巻』・東北大学附属図書館蔵模本―翻刻並びに考証―」(『平治物語の成立と展開』汲古書院 1997年)

・麻原美子・山口恵理子「平治物語絵巻『常盤の巻』をめぐって」(『日本女子大学紀要 文学部』30 1981年3月)

・徳江元正「第11回國學院大學図書館蔵本特別展示目録 常磐絵巻」(『日本文学論究』41 1981年11月)

・小松茂美編『前九年合戦絵 平治物語絵巻 結城合戦絵詞』(『続日本絵巻大成』17 中央公論社1983年)

・中澤伸弘, 宮崎和廣編・解説『好古研究資料集成 巻八 黒川真頼編 二』(クレス出版 2011年) 1

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