ただか

大分類万葉神事語辞典
分野分類 CB文学
文化財分類 CB学術データベース
資料形式 CBテキストデータベース
+項目名ただか;正香
+表記正香
TitleTadaka
テキスト内容その人自身。「直香」の用字も用いる。万葉集に6例あり、全て「妹が」「君が」から接続する。明確な意味は取り難いが、「正」「直」は現前するもの、「か」は「住処(すみか)」の「か(処)」と同じといわれる。すべて恋する相手を対象とする歌にみられ、不在の相手を現前のものとする表現である。笠朝臣金村の歌(9-1787)では、「うつせみの世の人なれば」と詠い出し、「寝も寝ずにわれはそ恋ふる妹が直香に」と直接対象に逢いたい感情を詠み込んでいることから、正に眼前に恋しい相手を求め、その現実の存在を指す語として正香が用いられていると考えられる。他例も相聞的な歌に用いられるが、命を受けた旅路にある相手を想う歌(13-3333、17-4008)において用いられている点や、人から想い人の死を告げられる形式の類型と考えられる歌(13-3304、13-3333)に用いられている点には注目される。17-4008は「手向の神」に祈り、対象の正香を「相見しめ」と願う歌であり、13-3333は、「卜置きて斎ひ渡る」にも関わらず、対象の正香が黄葉のように散ってしまったことを伝えられる歌である。このように正香は、離れた対象の無事を祈る際に切に願う相手そのものであり、対象が死んだ際に失われる相手そのものでもあると考えられる。
+執筆者坂根誠
-68662402009/07/06hoshino.seiji00DSG000488ただか;正香Tadakaその人自身。「直香」の用字も用いる。万葉集に6例あり、全て「妹が」「君が」から接続する。明確な意味は取り難いが、「正」「直」は現前するもの、「か」は「住処(すみか)」の「か(処)」と同じといわれる。すべて恋する相手を対象とする歌にみられ、不在の相手を現前のものとする表現である。笠朝臣金村の歌(9-1787)では、「うつせみの世の人なれば」と詠い出し、「寝も寝ずにわれはそ恋ふる妹が直香に」と直接対象に逢いたい感情を詠み込んでいることから、正に眼前に恋しい相手を求め、その現実の存在を指す語として正香が用いられていると考えられる。他例も相聞的な歌に用いられるが、命を受けた旅路にある相手を想う歌(13-3333、17-4008)において用いられている点や、人から想い人の死を告げられる形式の類型と考えられる歌(13-3304、13-3333)に用いられている点には注目される。17-4008は「手向の神」に祈り、対象の正香を「相見しめ」と願う歌であり、13-3333は、「卜置きて斎ひ渡る」にも関わらず、対象の正香が黄葉のように散ってしまったことを伝えられる歌である。このように正香は、離れた対象の無事を祈る際に切に願う相手そのものであり、対象が死んだ際に失われる相手そのものでもあると考えられる。489ただか正香坂根誠た1
資料ID32098

PageTop