かたやく

大分類万葉神事語辞典
分野分類 CB文学
文化財分類 CB学術データベース
資料形式 CBテキストデータベース
+項目名かたやく;象灼く
+表記象灼く
TitleKatayaku
テキスト内容占いのために鹿の骨などを焼くこと。象灼く。風土記には卜者や卜氏の専門家が登場し、各地でさまざまに占いをしていたことが知られる。万葉集には「武蔵野に宇良敝可多也伎(うらへかたやき)」(14-3374)とあり、口にしたこともないあの人の名が、占いに出てしまったと驚く恋の歌がある。また、「保都手(ほつて)の宇良敝(うらへ)を可多夜伎(かたやき)て」(15-3694)では、新羅への航行が安全であるように、占いの上手な壱岐の海人に占って貰うのだという。宇良敝は卜占の意味と思われるが、「宇良敝可多也伎」からは、象灼く材料として宇良敝が用いられるように読める。古代の卜占は、神代記にアマテラスの神が岩屋戸に隠れたので、神々が集まり天の香山(かぐやま)の真男鹿の肩を内抜きに抜いて、天の香山の天の波々迦を取って占い合わせたとある。伴信友によれば「卜事は、顕身の世の人の、かにかくに心に思ひ決めがたき事、又吉凶よろづにつけて、幽事の何の故、誰の所為と、顕に知られざる事あるとき、すべて己がさかしらを用ひず、神に祈請、布止麻邇に卜合て、其御教を受行ふわざにしあれば、まことに神事の宗源」(『正卜考』)だという。そして、先の記の占いについて「卜料に牡鹿を捕りて、やがて其肩骨を抜取て、波波迦火にうちくべて灼く法なりときこえたり、其は鹿島神宮の卜事に、鼎に波波迦の枝を焼きて、亀甲をうちくべて灼たる由、その神宮の古文書に見え、又上野国甘楽郡、貫前神社の神事に、卜鹿とて、鹿の肩骨を、錐もて刺して卜ふる事あり、其鹿は同郡秋畑村にて捕りて献る例なり」と記し、亀卜についても「対馬国卜部亀卜次第」として詳細に論じている。律令には「卜兆」「卜部」「占候医卜」などが見え、義解は亀を灼くことだする。中国では「骨を灼いて卜しもって吉凶を決する」(『後漢書』)といい、卜は亀卜による。伴信友はそうした変化について「対馬伝の中に、鹿肩骨を用ひずして、亀甲を用ふることは、灼たる響目の亀甲にては見易き故に、骨を不用という」を引きながら、この鹿卜や亀卜は中国よりも早くに日本で行われていた卜占法であったと強調している(前掲書)。日本の伝統では鹿卜が古く、次いで中国の亀卜が入り、唐令に基づく日本律令に定着したものと思われる。
+執筆者辰巳正明
コンテンツ権利区分CC BY-NC
資料ID31846
-68410402009/07/06hoshino.seiji00DSG000236かたやく;象灼くKatayaku 占いのために鹿の骨などを焼くこと。象灼く。風土記には卜者や卜氏の専門家が登場し、各地でさまざまに占いをしていたことが知られる。万葉集には「武蔵野に宇良敝可多也伎(うらへかたやき)」(14-3374)とあり、口にしたこともないあの人の名が、占いに出てしまったと驚く恋の歌がある。また、「保都手(ほつて)の宇良敝(うらへ)を可多夜伎(かたやき)て」(15-3694)では、新羅への航行が安全であるように、占いの上手な壱岐の海人に占って貰うのだという。宇良敝は卜占の意味と思われるが、「宇良敝可多也伎」からは、象灼く材料として宇良敝が用いられるように読める。古代の卜占は、神代記にアマテラスの神が岩屋戸に隠れたので、神々が集まり天の香山(かぐやま)の真男鹿の肩を内抜きに抜いて、天の香山の天の波々迦を取って占い合わせたとある。伴信友によれば「卜事は、顕身の世の人の、かにかくに心に思ひ決めがたき事、又吉凶よろづにつけて、幽事の何の故、誰の所為と、顕に知られざる事あるとき、すべて己がさかしらを用ひず、神に祈請、布止麻邇に卜合て、其御教を受行ふわざにしあれば、まことに神事の宗源」(『正卜考』)だという。そして、先の記の占いについて「卜料に牡鹿を捕りて、やがて其肩骨を抜取て、波波迦火にうちくべて灼く法なりときこえたり、其は鹿島神宮の卜事に、鼎に波波迦の枝を焼きて、亀甲をうちくべて灼たる由、その神宮の古文書に見え、又上野国甘楽郡、貫前神社の神事に、卜鹿とて、鹿の肩骨を、錐もて刺して卜ふる事あり、其鹿は同郡秋畑村にて捕りて献る例なり」と記し、亀卜についても「対馬国卜部亀卜次第」として詳細に論じている。律令には「卜兆」「卜部」「占候医卜」などが見え、義解は亀を灼くことだする。中国では「骨を灼いて卜しもって吉凶を決する」(『後漢書』)といい、卜は亀卜による。伴信友はそうした変化について「対馬伝の中に、鹿肩骨を用ひずして、亀甲を用ふることは、灼たる響目の亀甲にては見易き故に、骨を不用という」を引きながら、この鹿卜や亀卜は中国よりも早くに日本で行われていた卜占法であったと強調している(前掲書)。日本の伝統では鹿卜が古く、次いで中国の亀卜が入り、唐令に基づく日本律令に定着したものと思われる。237かたやく象灼く辰巳正明か1

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