【解説】平家物語 巻一~巻十二・釼巻・抜書 室町時代写 屋代本 巻二補写、巻四・九は別本

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+解説平家物語 屋代本  [貴1-14]

〈外題〉「平家 一(~十二、剣巻、抜書)」(左肩打付朱書)
〈内題〉「平家巻第一(~十二、剣巻上下、抽書七ケ条)」
〈巻冊〉11巻14冊(巻二・四・九欠)
〈体裁〉粘葉装のように仕立ててあるが糊付けせず、袋綴のように糸で綴じた特殊な装訂
〈書写年代〉室町時代
〈表紙寸法〉縦31.0糎×横20.5糎
〈書入・貼紙〉書入(墨・朱)あり。貼紙あり。
〈奥書〉なし
〈蔵書印〉「不忍文庫」、「賜蘆文庫」、「桂文庫」、「斑山文庫」、青木信寅蔵書印。
〈解題〉

平家物語語り本系諸本の一。江戸時代後期の国学者屋代(やしろ)弘賢(ひろかた)の旧蔵に係るので、「屋代(やしろ)本」と呼ばれる。本編12巻の他に、「剣巻」「抜書」の二巻を付す。本書は「灌頂巻(かんじようのまき)」を特立せず、建礼門院関連記事を巻十一・十二の編年体的位置に分載する。その点で、いわゆる八坂系諸本に分類される。本学所蔵本は、巻二・四・九の3巻を欠いている。欠けた三巻については、巻二は京都府立総合資料館本の模写本で、巻四と九は熱田真名本系の別本で補ってあり、形態的には14冊の形で朱塗りの箱に収められている。

京都府総合資料館蔵の巻二は、表紙も寸法も屋代弘賢の蔵書印も本書と共通なので、もとは一揃いであったものが何らかの理由で分蔵されたものと思われる。ただ、両者を合わせても巻四・九の二巻を欠いている。

押し界を施した強質の楮紙に片面8行の両面書き。料紙を縦に半分に折り、粘葉装のように重ね合わせ、糊ではなく紙釘で仮綴じし、その上に表紙を重ね四つ目綴にしてある。やや特殊な装丁である。本文は漢字片仮名交じりで、朱ルビ・返点等を施す。筆跡については、巻十一のみやや書き癖が異なるが、それ以外の巻は全巻同筆と思われる。

書写年代については、従来、応永年間(1394~1427)頃と推定されている。

〈影印〉

・『貴重古典籍叢刊9 屋代本平家物語』(角川書店 1973年)

〈翻刻〉

・『屋代本平家物語』(桜楓社 1967年~1973年)

・朝原美子・春田宣・松尾葦江編『屋代本・高野本対照平家物語』(新典社 1990年~1993年)

〈参考〉

・山田孝雄「平家物語異本の研究(一)」 (『典籍』2 1915年)

・山下宏明『平家物語研究序説』 (明治書院 1972年)

・千明守「屋代本平家物語の成立-屋代本の古態性の検証・巻三「小督局事」を中心として-」(『平家物語の成立』有精堂 1993年)

・吉田永弘「屋代本平家物語の語法覚書」 (『鎌倉室町文学論纂』三弥井書店 2003年)

・佐々木孝浩「「屋代本平家物語」の書誌学的再検討」(『ひつじ研究叢書3 平家物語の多角的研究 屋代本を拠点として』ひつじ書房 2011年)

・千明守『平家物語屋代本とその周辺』(おうふう 2013年)
+登録番号(図書館資料ID)貴1-14
所有者(所蔵者)國學院大學図書館
コンテンツ権利区分CC BY-SA-ND
資料ID143589
-143588 37 2020/11/18 r.teshina 【解説】平家物語 巻一~巻十二・釼巻・抜書 室町時代写 屋代本 巻二補写、巻四・九は別本 【解説】平家物語 巻一~巻十二・釼巻・抜書 室町時代写 屋代本 巻二補写、巻四・九は別本 貴1-14 10 005 平家物語 屋代本  [貴1-14]

〈外題〉「平家 一(~十二、剣巻、抜書)」(左肩打付朱書)
〈内題〉「平家巻第一(~十二、剣巻上下、抽書七ケ条)」
〈巻冊〉11巻14冊(巻二・四・九欠)
〈体裁〉粘葉装のように仕立ててあるが糊付けせず、袋綴のように糸で綴じた特殊な装訂
〈書写年代〉室町時代
〈表紙寸法〉縦31.0糎×横20.5糎
〈書入・貼紙〉書入(墨・朱)あり。貼紙あり。
〈奥書〉なし
〈蔵書印〉「不忍文庫」、「賜蘆文庫」、「桂文庫」、「斑山文庫」、青木信寅蔵書印。
〈解題〉

平家物語語り本系諸本の一。江戸時代後期の国学者屋代(やしろ)弘賢(ひろかた)の旧蔵に係るので、「屋代(やしろ)本」と呼ばれる。本編12巻の他に、「剣巻」「抜書」の二巻を付す。本書は「灌頂巻(かんじようのまき)」を特立せず、建礼門院関連記事を巻十一・十二の編年体的位置に分載する。その点で、いわゆる八坂系諸本に分類される。本学所蔵本は、巻二・四・九の3巻を欠いている。欠けた三巻については、巻二は京都府立総合資料館本の模写本で、巻四と九は熱田真名本系の別本で補ってあり、形態的には14冊の形で朱塗りの箱に収められている。

京都府総合資料館蔵の巻二は、表紙も寸法も屋代弘賢の蔵書印も本書と共通なので、もとは一揃いであったものが何らかの理由で分蔵されたものと思われる。ただ、両者を合わせても巻四・九の二巻を欠いている。

押し界を施した強質の楮紙に片面8行の両面書き。料紙を縦に半分に折り、粘葉装のように重ね合わせ、糊ではなく紙釘で仮綴じし、その上に表紙を重ね四つ目綴にしてある。やや特殊な装丁である。本文は漢字片仮名交じりで、朱ルビ・返点等を施す。筆跡については、巻十一のみやや書き癖が異なるが、それ以外の巻は全巻同筆と思われる。

書写年代については、従来、応永年間(1394~1427)頃と推定されている。

〈影印〉

・『貴重古典籍叢刊9 屋代本平家物語』(角川書店 1973年)

〈翻刻〉

・『屋代本平家物語』(桜楓社 1967年~1973年)

・朝原美子・春田宣・松尾葦江編『屋代本・高野本対照平家物語』(新典社 1990年~1993年)

〈参考〉

・山田孝雄「平家物語異本の研究(一)」 (『典籍』2 1915年)

・山下宏明『平家物語研究序説』 (明治書院 1972年)

・千明守「屋代本平家物語の成立-屋代本の古態性の検証・巻三「小督局事」を中心として-」(『平家物語の成立』有精堂 1993年)

・吉田永弘「屋代本平家物語の語法覚書」 (『鎌倉室町文学論纂』三弥井書店 2003年)

・佐々木孝浩「「屋代本平家物語」の書誌学的再検討」(『ひつじ研究叢書3 平家物語の多角的研究 屋代本を拠点として』ひつじ書房 2011年)

・千明守『平家物語屋代本とその周辺』(おうふう 2013年) 1

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