【解説】新古今和歌集 上・下 伝源親行筆 鎌倉時代写
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文化財分類 CB | 図書 |
資料形式 CB | テキストデータベース |
+解説 | 親行本 新古今和歌集 二冊 源通具等奉勅撰 鎌倉時代写 新古今和歌集は鎌倉時代初期に出来た第八番目の勅撰和歌集で、二十巻。歌数は流布本で約2000首。建仁元年(1201)後鳥羽院の院宣によって源通具、藤原有家・家隆・定家・雅経が撰に当り、元久2年(1205)に成立したが、以後も切継ぎが行われた。作者としては西行、慈円をはじめ名の知れる者396名。 その歌風は、繊細で優雅な調べが追求され、耽美的、ロマン的、情趣的な傾向が強く、新古今時代を形成していて、万葉集、古今集と並び称されている。八代集の一つ。 掲出本六-(イ)-7-1は、その奥書により源親行自筆本と称され、東大寺旧蔵とも伝えられる稀覯書で鎌倉時代の写本である。親行自筆であれば、本書は現存新古今集中実に最古のものであるが、惜むらくは処々に一、二葉を逸し、合せて約六十葉が欠けている。表紙は上巻、梨色地菊花唐草紋金繍裂表紙で、縦23.2糎、横19.0糎。下巻は、梨色地松・梅花紋金繍裂表紙で、縦23.4糎、横14.7糎。見返上巻、淡茶色地金銀切箔散鳥子紙。下巻、布目空押金紙。字面高さ約20.0糎。料紙は稍厚手の鳥子紙。 次に旧蔵者、高野辰之博士の添書を掲げて参考に供す。句読点は筆者。 此ノ書モト東大寺ノ蔵也トイフ。奥書ヲ按ズルニ源親行ノ自筆本ナリ。コノ奥書ニヨレバ當時新古今集ニハ八種ノ傳本アリキトイフ。凡ソ歴代勅選集中屢刪訂セラレタルハ之ヲ以テ第一トナスベシ。元久二年三月廿七日ニ竟宴ノ儀ハ行ハレタレド爾後、後鳥羽院ノ御刪修一再ノミナラズ隠岐ニ遷サレ給ヒテ後モ筆ヲ擱キ給ハザリキ。自ラ傳本多クシテ下賜御本、家長本、隠岐本等ト別ケラル、然レドモ此ノ親行本ニ至リテハ未ダ曽テ記録セラレタルヲ見ズ。 源親行ハ源氏物語河内本ノ作成者也。筆札ニ巧ニシテ藤原定家ニ其ノ集拾遺愚草ノ清書ヲ嘱セラレタルコトアリ。此ノ新古今集ハ親行自ラ八種ノ傳本ニヨリテー本ヲ作成シ、貞應二年即チ後鳥羽院ノ御存命中ニ撰者中最モ有力者タリシ定家ニ校閲ヲ求メタルモノニシテ、定家ハ盛夏ノ炎暑ヲ凌ギテ校合ノ筆ヲ執リ、親行ガソレヲ奉ジテ清書シテ以テ証本トナセンモノコレ也。コト具サニ親行ノ奥書ニ見エタリ。此ノ書流布本ト異リテ隠岐本ニ於テ棄テラレタル歌ハマゝ此ノ書ニ於テモ之ヲ除キ、他ニ流布本ニアリテ、此ノ書ニナキ歌マタコレ有リ、詞句ノ同ジカラザルハ□アリアリ。 此ノ書恐ラクハ、モト貳冊ニ綴分ケラレテアリシナラン。今、合セテー冊トナセド汚損ノ態ニヨリテ分冊ノ痕掩フベカラザルモノアリ。又、手鑑用ニ供セシモノナランガ處處ヨリー葉又ハ二葉四葉ヲ切リ取ルコト合セテ六十葉ニ達セリ。然レドモ其ノ失ハレタルハ歌数二百五十首ニシテ、総数ニテ千九百八十首ニ對シテ十ノ二ヲ失ヒテ他ノ八ヲ存スル也。 七百年前書写ノ書幸ニシテ漢和二種ノ序文ト筆者ノ奥書署名花押ヲ存シテ、此ノ集ノ古體ヲ傳フルトコロ豈ニ尊重セザルヲ得ン也。 昭和四年八月 斑山文庫主人 高野辰之識 (貴15-16) |
+登録番号(図書館資料ID) | 貴15-16 |
所有者(所蔵者) | 國學院大學図書館 |
コンテンツ権利区分 | CC BY-SA-ND |
資料ID | 143272 |
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